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女子高生は感覚で生み出している

――2巻では、先生方のプライベートな部分も少しずつ明らかにされ、読者心がくすぐられます。キャラクターはどのようにつくっているのですか。

和山 星先生は、単純に理想を詰め込んだ感じです。生徒に対しての言葉遣いもていねいで、どの生徒に対しても接し方に差がないように意識しています。小林先生は、すごく動かしやすいので、描いていて楽しいです。「キャラが変わってきたかな」と自分でも思うことはあるんですが、連載を重ねることで「知りあってきた」時間が積み重なってきたので、最初とは違う側面を見せてもらえるようになった、というイメージです。これは、小林先生に限ったことではなく、ほかの生徒や先生方も同じだと思っています。

――小林先生と星先生は、仲がいいんですか。星先生と小林先生の意外な一面も2巻では描かれていますが、和山さんが好きだとおっしゃるBLを意識されている部分もありますか。

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和山 星先生にとって小林先生は、気を使わなくていい相手なのかなと思います。前著の『夢中さ、きみに。』や『カラオケ行こ!』では、少しBLを意識して描いた部分はありますが、『女の園の星』ではありません。でも、見る人によってはそういう楽しみ方もできたりすると思うので、読み方は読者に託そうと思います。

――よく寝る香川さんや、漫画家志望の松岡さん、星先生の観察を日課にしている鳥井さんなど、生徒たちにもモデルがいるのですか。普段から女子高生がいそうな場所に行くなど、取材もされているのでしょうか。

和山 私の感覚で生み出しているだけなので、特に取材などはしていません。たまたま駅のホームなどで女子高生がいたら、「今どんな髪型が流行っているんだろう」くらいはチラッと見たりしますが、それくらいです。あまりじろじろ見ても失礼ですし……。

『女の園の星』第1話より©和山やま/祥伝社フィールコミックス

――2巻では、毎朝通学前にコンビニで肉まんの進化形「うどんまん」を買う生徒が、「うどんまん有段者」というあだ名をつけられたり、「タペストリー」を「ペタリスト」と勘違いしていた小林先生が、「ペタリスト」とつぶやいた瞬間に生徒から「ペタリスト小林」とささやかれたりするなど、「あるある」と思う笑いも描かれています。リアルさを感じさせながらギャグを描くのは難しいと思いますが、読者を置き去りにしないために、どのような工夫をされているのですか。

和山 高いテンションのギャグを描かないということと、キャラクターの所作や背景などは細かく描くことを意識してます。コメディなので悪い人間は描かないようにしてますが、良い人ばかりでもウソっぽくなるので、そのぶん生徒の持ち物や、通学で使う駅、コンビニなどの背景や小物は実際に写真を撮ってリアルに描くことで、現実と虚構の乖離を埋めるようにしてます。また、小林先生がカロリーメイトをよく食べていたりなど、ズルいやり方ですが固有名詞を出すことで「こういう人、実際にいるかも」とイメージしやすいかなと思っています。

 あとは、漫画を描いている時は、BGMとしてドラマを流していることが多いので、ドラマで流れてくる映像を、キャラクターの動きの参考にしています。映像を意識することで、人間の細かい動きなども、より自然に描けていると思います。