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以前は深夜のファミレスで

――1巻の1話で「気をつけてお帰りくださいませ」と言う星先生に対して、生徒が「敬いすぎ」と返すシーンや、生徒から「無印良品」と呼ばれていたことがあると話す星先生に、「おしゃれ!ずるい!じゃあ俺、高島屋!!」と返す小林先生のシーンなど、キャラクターのセリフが秀逸です。こうしたセリフは、どうやって考えているのですか。

和山 セリフは、じわじわとしたおもしろさが伝わるように考えています。最初にプロットから考えるのですが、それはセリフだけで書き起こし、そのあとでネームを組み立てています。セリフは、声に出してそのままスッと入ってくるかという音の響きや、会話のテンポ、説明しすぎていないかなどを何度も検証するので、すごく時間がかかります。

――一番苦しい作業は。

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和山 一番苦手なのはネームです。セリフからネームを組み立てるのが一番難しい。キャラクターやストーリー、絵柄は読者にも好みがあるので、開き直って自分の好き勝手にしているのですが、ネームは「いかに読者にとってストレスのない画面がつくれるか」を一番に意識しています。ぱっと見た時に読みやすいものになっているか、セリフや絵がごちゃごちゃしていないか、吹き出しの配置で「ここの会話はどういうテンポで読んでもらえるか」など、基本的なことだからこそ画面作りは一番重要視して一番頭を使うところなので、いつもここで苦労しています。

 プロットとネームはほどよい雑音がないと考えられないので、以前はよく深夜のファミレスに行って描いていました。今はコロナで行けないので、昼間に近所のカフェで描いたりしています。

©️iStock.com

――2巻9話で小林先生が作った3年生への記念品も、強烈なインパクトがありました。どうやってあの記念品にあったワードにたどり着いたのですか。

和山 悶々と考えた末に出てきたアイデアから、何通りかネームを考え、一番おかしいのを選びました。でも何がウケるかはまったくわからないので、毎回反響にドキドキしています。