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 なぜ水が戻ったのか。その理由はわからない。その後、銀水洞には講習や撮影で何度も入っているが、オレが最初に見たようなドロドロの涸れた状態になることはなかったし、水が減る様子もない。最初オレを案内してくれた地元の知り合いは、きれいになった銀水洞の写真を見て、「こんな景色になっているの!?」と驚いていた。

狭い通路を通る必死感があふれる1枚。ニュージーランドで撮影 ©吉田勝次

 まさにミラクルとしか言いようがない。

「うぉぉ~、すげぇ~!!」

 よみがえった銀水洞を“再発見”したオレは、講習の事前調査のことはすっかり忘れて、とりあえず「カメラを持ってこなければ!」と洞窟を飛び出して宿に戻った。カメラを手にふたたび銀水洞に入ったあとは、写真を撮りまくった。そのとき、持っていたライトをホールの底のプールに何個か入れてみたら、ブルーに光ってめちゃくちゃキレイに撮れることがわかった。

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「すべてのプールにライトを入れて撮ったら、とんでもなくキレイな写真が撮れるんじゃないか!?」

 そう思うと居ても立ってもいられなくなり、ふたたび洞窟を出ると、今度は島中の電気屋を回って、懐中電灯やキャップライトなど持ち運べる照明をすべて買い占めて、その足ですぐに銀水洞に舞い戻った。照明の数はたしか30個ぐらいだったか。そのほとんどはもちろん防水ではないので、ジップロックに入れて申し訳程度の防水処理をして、銀水洞のプールの中にドボン。

「うぉぉ~、すげぇ~!!」

 撮った写真をデジカメのディスプレイで確認した瞬間、オレは興奮のあまり絶叫した。そこに写っていたのは想像していた以上の絶景だった。