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「僕たちアスリートは可哀想ですか?」「家族に会いたい気持ちにも…」大迫傑が日誌に綴った東京五輪への“思い”

『決戦前のランニングノート』より#2

2021/07/22

source : Sports Graphic Number

genre : エンタメ, スポーツ, 読書

 高校駅伝や箱根駅伝で活躍し、昨年の東京マラソンでは、自身の持つ日本記録を21秒縮める2時間5分29秒をマークした大迫傑選手。  

 大迫選手は東京オリンピックに向けて、日誌を付け始めた。そのノートには、ケニアで練習する難しさやSNSのストレス、競技以外の悩みなど、揺れ動く感情が赤裸々に書きとめられている。『決戦前のランニングノート』(文藝春秋)より一部抜粋して、大迫選手の日誌を紹介する。(全2回の2回目/#1を読む)

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2021年3月11日 僕にとっての東京オリンピック。

 僕にとって、オリンピックはとても大きなものです。

 オリンピックの最初の記憶は、7歳のときに見た長野オリンピック。細かなシーンは覚えていないのですが、あのオリンピックをきっかけにジャンプの選手になりたいというところから始まって、オリンピック選手になるのが僕の夢になりました。子供の頃によく書かされる“将来の夢”にも「オリンピック選手になる」と書いていた記憶があります。

2月15日~17日の大迫選手の日記:最近話題のオリンピックについて考える。IOCはそもそも選手の声を聞くきがないのだから選手の発信に意味はあるのだろうか。そしてみんなもキレイ事を言っている気がする。マラソンに限っていうとオリンピックがなかったとしても、その後の東京マラソンやその他のメジャーズでリベンジ東京オリンピックというストーリーをつくり目立ちやすいのではないだろうか。(一部抜粋)

 競技生活を振り返っても、原動力のひとつとしてオリンピックは外せませんし、あの舞台で日本人が活躍する姿を見せることが、次のジェネレーションのモチベーションになると思っています。

 東京オリンピックは、僕にとって2度目のオリンピックになります。前回のリオオリンピックは5000mと10000mに出場しましたが、単純にもう少し頑張りたかったなという気持ちと、トラックで世界と互角に戦う難しさを痛感しました。そして、あのとき惨敗したことで、自分がどれだけ速いかは分からないけれど、マラソンに挑戦したいという思いが強くなりました。