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 うまくいくか分からないと不安を口にしていた父親だが、娘のことを思う気持ちが彼を動かしたのだろう。娘への聞き取り、加害者グループへの接触によって、サユリが受けていたいじめの実態が見えてきた。

「お前は制服着てるから、どこの中学かすぐバレるからね」

 主犯格はミカ(仮名)とユイ(仮名)という女子2名。いつも5~6人の生徒を引き連れており、2人は勉強もスポーツも出来るクラスの中心的な存在だという。学校帰りに「遊び行こう」とミカたちに言われると、サユリは断れない。まずミカの家に行くと、カバンや財布、スマホの中身までチェックされて、バッグを置いていくよう指示される。

 その後、連れて行かれるのは、中高生の溜まり場になっているショッピングモールだ。ミカたちがモール内のショップをまわり、カゴいっぱいに欲しいものを詰め込むと、「あとは払っておいてね」と言って、サユリに1万円近く払わせる。サユリの肩に腕を回しながら、ユイが引きずるように引っ張っていくこともあった。

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 ミカを始めとする加害者グループは、全員私服に着替えているが、サユリだけ制服のままだ。「何かトラブルあったら、全部サユリのせいにするから。お前は制服着てるから、どこの中学かすぐバレるからね」と脅されていた。それでも一度、耐えかねて、ショッピングモールのトイレの窓から逃げたというから、心理的に相当追い詰められていたようだ。

「殴る蹴るの暴行があったわけではないから、逃げればよかったと言う人もいるかもしれないが、その認識は誤りです。ミカの自宅に荷物を置いてるので、遊び終わるまでサユリは行動を共にせざるを得なかった。いわば軟禁状態だったんです」(阿部氏)

 カラオケボックスに連れて行かれて、1人置き去りにされて全員分の料金を払わされたこともあったという。最初の5~6万円程度は自分の貯金で支払えたが、底をつくとサユリは親の財布からお札を抜き取るようになった。それが原因で親子ゲンカにもなったが、それでも親を心配させたくないと、いじめのことは気づかれないように振る舞っていた。

 繰り返された恐喝行為が、積もり積もって30万円に膨れあがったのだ。