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「うちの子は絶対に噛まない」という過信をしない

 いったい、Aさんを噛んだロットワイラーとはどういう犬だったのでしょうか? この犬種は古くから家畜の追い犬として活躍し、優れた体力と勇敢さ、忠誠心から警察犬や軍用犬、山岳救助犬としても重宝されています。

 一方で防衛心が強いため、時には過剰な反応を示すこともあるので、しつけを子犬の時から徹底する必要があると言われています。

 もちろん性格も含めて個体差はありますが、そういう性質を持つ犬となれば、飼い主はリードを短く持ち、愛犬の動きや変化に対して細心の注意を払うべきでした。

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 もし愛犬が純血種であれば、どんな使用目的で作られ、どんな性質を持つのか把握することをおすすめします。それを把握することで防げる事故も多々あるからです。

 例えば、ウェルシュ・コーギーは家畜の追い犬のヒーラー(牛や羊などのかかとに咬みついて吠えながら追いかける)として活躍していた犬種なので、散歩中に飼い主や他人のかかとを咬んでしまう事故に繋がることがあります。

人気犬種のウェルシュ・コーギー ©iStock.com

 天然記念物に認定されている秋田犬は、狩猟犬・闘犬・番犬としての歴史があり、忠誠心が厚く従順ですが、神経質な面がでることもあり、稀に噛みつく、暴れるなどの行動が見られることもあります。

 また、飼っている犬が大型犬の場合、興奮した際に飼い主が制御できるか考慮することも重要です。

愛犬家の過信が悲劇を生む

 いざというとき被害者に過失がない限り、「自分の責任ではない。犬が勝手にやったことだ」は通用しません。愛犬だけでなく、自身を守るためにも、時には「触ってもいいですか?」というお願いを断ることも必要です。

 現在ではペットジャーナリスト、ブリーダーとしても活動する筆者ですが、過去には愛犬が知人を噛んでしまう事故を起こしました。幸い知人は軽傷でしたが、当時は「うちの子は絶対に噛まない」と過信があったことは確かです。その過信が愛犬の変調を見逃し、事故に繋がったのだと猛省しています。

 ペットを飼う限り、こうした事故は決して他人事ではありません。「うちの子にも起こりうること」と心に留めておく大切さを、身をもって感じています。