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──デジタルネイティブ世代は、「スクリーントーン」を知らない人もいるのでは。

笹生 以前「アナログ原稿ってトーンを手で貼るんでしょ。大変だな」というツイートを見かけてびっくり。柄の種類が少なかった頃は、点描でも集中線でもカケアミでも全部、手で描いてたんだよ!と言いたかったです。いい柄が増えてきた時「描かなくても貼るだけでいいんだ! なんて楽なんだ!」と感激しましたから。

 で、そのいい柄っていうのは、どなたかとても技術の高いアシさんなどがバイトで、手描きして柄を作ってたんです。ほとんどのトーン柄はデジタル処理で作れますが、手描きでなければ作れない柄もある。それはいつか描ける人がいなくなれば、消えてしまうんでしょうねえ。残念。

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 デジタルは「進化」ですよね。残念ながら私は使えませんけど、目の老化に困る身としては、作画の時に拡大できるのは羨ましい。

 ただ進化しすぎて「そこまで細かく描き込むの?」と驚くこともあります。

それぞれの絵柄でキャラを描き分けた理由

──笹生さんのご主人も「レジェンド」と呼ばれる漫画家です。『静かなるドン』の新田たつおさんからは、どのような感想をいただいたのですか。

笹生 夫はそれほど、人の漫画には興味がないらしいんです。だから私の漫画もあまり興味ないかなと思ったら「その俺が読んで面白かった。たいしたもんだよ」と言ってくれました。「読んだけどよくわからん」じゃなくてよかったな、と思いました(笑)。

──かつての漫画家仲間には事前告知されていたのでしょうか。エピソードを紹介した先生方からの反応はいかがでしたか。

笹生 友人たちには「今度こういう漫画を描くんだ」と、ネーム段階から教えてました。みんな楽しみだって、すごく応援してくれて、描く上でとても励みになりました。

 先生方は、何を描かれるか不安だったと思いますが(笑)、完成した本には「面白かった」と言ってもらえてほっとしました。

──アシスタントをされた先生方は、それぞれの絵柄でキャラを描き分けておられます。なぜこのような構成にしようと思われたのですか。

笹生さんが毎月ファンレターを送っていた美内すずえ先生と、感動の初対面の瞬間

笹生 私がアシをした頃の先生方のお顔を描かねばならない、さてどうしようと困りました。当時のお写真もないし。

 それなら当時の先生方の絵柄を真似よう、と閃きました。写真を見ながらご本人に似せて描くよりも、「この絵柄は〇〇先生だ」と読者もすぐわかるからその方がいい、と。どの先生でも、目の描き方を真似れば、読む人にも模写してることがわかってもらえるだろうと思い、描きました。

──「目」がポイントなんですね。描きやすい先生や、描きにくい先生の違いはありましたか。

笹生 絵柄的には美内先生の絵柄を真似るのは得意です(笑)。ただし昔はもっと、描線まで似せて描けたのに、今は描線に限って言うとダメ、似てません。

 美内先生の描線はもっと力強く太い線なのに、どうしても太く描けませんでした。まったく逆なのが山岸先生。絵柄を真似るのは難しい。でも細い描線を描くのは苦労しません。