「あ、あのオーディションのときのヤバいヤツだ」
―― 松岡茉優さんと仲良くなったのって、『GTO』より前ですか。
伊藤 そうですね、『悪の教典』で一緒になったのが初めてなんですけど、松岡は『鈴木先生』(映画版)だって言うんです。でも『鈴木先生』は『ナラタージュ』よりも出てないぐらいの、もうホントに「いたの?」ぐらいの感じだったので、松岡とは絡んでないんですよ。そこからの『悪の教典』なんですが、それも松岡と一緒だったことを後々気づいたくらいなんですよね。「あ、あのオーディションのときのヤバいヤツだ」って。松岡は、なんかちょっとおかしいのかなって思うぐらいハイテンションな人だったんですよ、オーディションでも撮影現場でも。
―― 相当インパクトがあった。
伊藤 本人も、「オーディションから、あのまま行っちゃったの、本当に申し訳ない」みたいなことを言ってました。
―― 松岡さんとはどういうところが気が合うんですか。
伊藤 ほぼ同期だし、大人に対する何かとか(笑)、お芝居に対する何かとか、陰と陽を分かり合える友人です。私と松岡が一緒にいると、普通の人が聞き取れないぐらいに早口で喋って「あはは」みたいな感じなんです。会うとデトックスになる存在。
私ってそのラインじゃないよねって
―― 伊藤さんや松岡さんを始め、この世代は、子役から大成してる人が多いですよね。そういうのは意識していますか。
伊藤 意識は……していましたね、やっぱり。同い年の俳優が多いんです。しかも主演やヒロイン級で活躍しているような子が多い。それで、これまではどうしよう、埋もれてしまうんじゃないかとか思ってたんですけど、なんか急に「それは、うぬぼれてるかも」って思い直したんです。私ってそのラインじゃないよねって。清純派だったり、美少女とかいる中で、私にしかできないところを演じ続けたほうが面白い。そう考えたら、別に競走というか、比べる必要はないなって。むしろ、このポジションはキャラクターがかぶることにおびえる必要がない。
―― より自分の領域を固めていく方向ですね。
伊藤 はい、自分が観せられるところを着実に進んでいきたいです。事務所の社長が、「焦るな、はやるな」ってよく言うんですけど、まさに私はその言葉を胸にしています。
―― 社訓を胸に。
伊藤 あはは、社訓ですね、まさに。私は結構ワーッて、いきなり焦ったりするんですよ。何てことない時に、どうしよう私なんか消えるかも、とか急に思ったりするんですけど。そういう時はもう社長の言葉が安定剤。「焦るな、はやるな」