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2021/07/16

コメディとナード俳優への挑戦

 2011年の宮藤官九郎が脚本を手掛けた『11人もいる!』では、貧乏な家をなんとかしようと考えるあまりに突飛な行動を取ってしまう主人公の高校生・真田一男を怪演してコメディもイケる俳優であることを知らしめた。翌年の『桐島、部活やめるってよ』(12)では、校内ヒエラルキーの底辺でもがきながらもゾンビ映画の制作に情熱を燃やす映画部員の高校生・前田涼也を大熱演し、ナード・キャラもこなせる俳優の地位も確立して『屍人荘の殺人』(19)のミステリー・オタクの大学生・葉村譲役やauのCM『意識高すぎ! 高杉くん』シリーズの高杉役に繋げている。

「芝居を通して自分が知らない自分に出会うことを期待している」と話している神木だが、コメディとナード俳優への挑戦、それによる子役出身のイメージ打破は《神木家の家訓 その3:真逆の意見も一度は受け入れなさい》を実践したものだろう。

©文藝春秋

自他共に認めるオタク気質を活かして3次元化

 そして、2016年に新海誠監督『君の名は。』(16)で主人公・立花瀧の声を務める。かねてから作品の聖地巡りをするほどの熱狂的な新海誠ファンだっただけに、オファーされた際は夢なのかと思いつつも「新海監督の作品は実写にいちばん近いアニメーションだと思っていて、飾らない感じで、透きとおった声のイメージだったので、本当に僕でいいのか」とファンならではの冷静な作品分析に裏打ちされた苦悩を語っている。(※5)しかも、ヒロインの宮水三葉(上白石萌音)と中身が入れ替わるという難役でもある。だが、興行収入250億円、国内歴代興収ランキング第5位のメガヒットを記録。神木の力量と新海監督の眼力が生み出した結果でもあると言っていい。

『るろうに剣心』シリーズ(14~21)では瀬田宗次郎、『バクマン。』(15)では高木秋人、『3月のライオン 前後編』(17)の桐山零、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(17)では広瀬康一と、自他共に認めるオタク気質を活かして名作コミックの主人公や人気キャラを原作の世界観を壊すことなく3次元化してみせた。

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