昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2021/07/15

古い因習がいまなお蔓延る界隈

 ただ、困ったことに産業廃棄物業界の古い因習がいまなお蔓延る界隈でもあり、これが問題となり、全国の山林の盛り土も含めて再検証しようよとでもなろうものなら、対応がむつかしい話になるのかもしれません。

熱海土石流、行政責任検証へ 盛り土届け出の手続きなど | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20210710/k00/00m/040/175000c

©文藝春秋

 届け出の3倍以上の敷地や容量の土砂を盛り土として熱海市伊豆山地区ほか数か所に積み、近隣住民とのトラブルとなった上で住民説明会まで行った経緯もある本件を、なぜ静岡県・熱海市が積極的に対処し得なかったのか。なぜ今回のような盛り土「決壊」からの大規模土石流となり近隣住民の死亡事件に繋がるまで放置されてきたのか。行政の不作為と一口で言えばその通りなのかもしれませんが、この工事単体は2008年前後のことだとしても、仕組み的には昭和の産廃屋がアウトローな感じに手がけてきた問題が凝縮されているものなのです。

「なぜこんなに脆かったのか」

 さらには、この盛り土が「なぜこんなに脆かったのか」については、宅地として造成される申請をするべきところを宅地造成等規制法逃れをする目的で一部の土地で「残土処理」、つまり造成中の土地の調整地域とすることで申請容量を超えた土砂を運び込める手法を駆使していたことが分かります。

盛り土造成、何度も違反…市の中止要請従わず(読売新聞オンライン)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210708-OYT1T50081/

 そして、盛り土として強度を出すには木くずのような混合廃棄物は駄目で、排水処理用のパイプと遮水シートで保全する必要があります。しかしながら、本件は谷になっている周辺の土地を埋めるにあたり木くずや廃プラスチックだけでなく粉砕したリサイクル家電やガラス材、タイル材などの建廃も混入していたことが、すでに報じられています。

 私も事業者の肌感としてこのような話があったならば、盛り土の強度を弱めるこれらの部材・廃材が混入していたとしてもあまり違和感を覚えません。言わば、正規のごみ処理では圧倒的にコストのかかるタイプの産業廃棄物を簡単な破砕をしただけで土砂と一緒に排水処理を施さずに谷に埋めてしまっていた危険があるよということになります。

z