クルマで寝る楽しさ
閑話休題。では、クルマで寝ることの楽しさとは何だろうか? まず大きな魅力として伝えたいのは、「少年時代の押し入れ感覚」=「非日常」が味わえること。車内を自分(もしくは家族)のために快適にアレンジして、子どものころの秘密基地よろしく、限られた空間の中で好きなものに囲まれて過ごすのだから、そりゃあ、楽しくないわけがない!
そして、そのお気に入りの空間が、そのまま「移動できる」ことも大きなポイントだ。クルマで走り、好きな場所で寝られる(その場所には注意しよう)。さらに、それだけではなく、睡眠をとるときでなくても、ゴロゴロしたり、ダラダラしたり。大好きな本やDVD、動画などを、野外に止めた車内でリラックスしながら楽しむことができる。それだけで、なんだかいつもとは違う時間を過ごせて、心がデトックスされた気分になるのだ。
さらに、アウトドア・アクティビティやキャンプを趣味にもつ人なら、釣りや山登り、スキー&スノボといったギアやキャンプ用品を積み込み、移動の道中も寝るときもワクワク、目的地に着けばそのまま趣味を満喫できるという、まさに夢のような体験ができるのだ。
ここ数年、使い古された表現ではあるが、「動く秘密基地」というキャッチコピーは、車中泊の魅力を説明するのにピッタリの言葉なのだ。自分だけの大人の秘密基地を作って、あの気持ちを、ぜひ今こそ体験してみよう!
車中泊のメリット
車中泊の魅力は、非日常を楽しむだけのものかというと、そうではない。そもそも車中泊が最初に広がりを見せたのは、スキーブームが大きかった。その他にも、早朝から動き始める釣りや山登り、サーフィンといったアウトドア・アクティビティとは、とても相性がいい。ちなみに、私が編集長をしている『カーネル』の語源も、釣り人たちのスラング(的な造語)から来ているという説がある。もちろん、アウトドア・アクティビティと離れ、観光旅行とも相性がいいのだ。
そんな車中泊の「メリット」について、一度整理をしてみよう。
まず、いちばん大きなものは、「フレキシブルさ」だ。旅の計画を柔軟に立てることができる。
旅館やホテルではチェックアウトの時間や食事の時間が細かく決まっていることが多いが、車中泊では深夜もしくは早朝の移動も計画に加えられる。考えている旅の予定に合わせてプランニングの幅が広がる。
そして一日を有効に使える、という点も大きい。クルマで寝ていると、起きて最小限の準備だけで、すぐに行動に移すことができる。早朝もしくは夜にアクティビティを楽しむため、前泊もしくは後泊をすれば、時間を有効に使うことができる。車中泊を「手段」として活用するというものだ。