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自然に囲まれて過ごす一晩、堪能できる非日常、車中でゆったり入浴も…一大ブームを迎える“車中泊”の奥深すぎる世界

『やってみよう!車中泊』より #1

2021/07/28
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 さらに、人が移動する時間のピークを外すことができるので、渋滞を避けられるという利点もある。これは道路上の渋滞を避けることはもちろんだが、観光地での混雑時間を外して楽しめるので、待ち時間が少ない、ということも含む。早朝もしくは終了時間近くならば、ピーク時の何分の一の待ち時間の場合が多い。車中泊で行う前泊・後泊のアドバンテージがここで活きてくる。

注意点は「睡眠時間を削らない」こと

 時間的なメリットを活かせば、「二泊二日旅」という選択肢が生まれる。この計画なら、移動と就寝を兼ねる車中泊のアドバンテージはかなり大きいはず。これこそ、計画の自由度の高さ! そして柔軟に変更できる車中泊の利点といえるだろう。

キャンプにも旅にも、車中泊は大活躍! 写真協力=カーネル株式会社

 ただし注意点は「睡眠時間を削らない」こと。時間を節約しようと考えると、どうしても睡眠時間を短くしがちだ。しかし、心身ともに疲れている状況で睡眠時間を削るのはとても危険。クルマを運転すること、そして現地でめいっぱい楽しむことを重視するなら、睡眠時間はしっかり取ることを前提とするのが鉄則だ。

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 車中泊だからといって、そのすべてをクルマで就寝する必要はない。体調や眠気と相談して、二泊中のうちの一泊を、旅館やホテルに切り替えてもいい。のんびりとベッドや布団で寝て、豪華な食事に舌鼓を打って、クルマ旅を楽しむ……。車中泊の大きな悩みの種である洗濯やゴミの処理、デジタル機器の充電といった問題も、これで解決できる。キャンプ場なども組み込めば、さらに旅はバラエティに富んだものになるだろう。「車中泊をしない」という選択すらも自由なのが、車中泊の魅力なのだ。

ペットとの旅、宿泊費の削減…まだまだメリットはたくさん

 車中泊のメリットはほかにもある。ペットと一緒に旅ができることも、そのひとつだろう。最近では、愛犬や愛猫と一緒に宿泊できる宿も増えてきた。まだ数は少ないし、いくつかの注意点や準備は必要であるのに対し、車中泊ならばペットと一緒に就寝する場所に困ることはない。最近では、ペット旅専用のキャンピングカーや車中泊カーも多く、レンタカーで貸出しもされている。興味のある人はぜひとも調べてみてほしい。

 そして、いまさらではあるが「宿泊費」を削減できるということも、やはり見逃せないメリットだろう。車中泊は一見、お金がない人たちの「貧乏旅」と思われがちだ。旅程のすべてをホテルや旅館で泊まることと比べると、RVパークやオートキャンプ場のほうが、はるかにリーズナブルに泊まれる。どんなに高額だったとしても、一泊一台で5000円も掛からない車中泊は、コスト面での利点はやはり高い。削減できる経費は削減したいのは確かだ。