文春オンライン

《芥川賞受賞》「タピオカミルクティー、パイナップルケーキ、マンゴー…苦手で食べられません」 台湾出身の作家、李琴峰が感じたカテゴライズの“痛み”

『彼岸花が咲く島』芥川賞受賞インタビュー

2021/07/16
note

 舞台は南洋に浮かぶ、さほど大きくない島。「ニホン語」「女語」「ひのもとことば」。3種の言葉が存在するその島に、ひとりの少女が流れ着く。

「宇実(ウミ)」と呼ばれる彼女は、同年代の少女「游娜(ヨナ)」と出逢い、ともに島で生きる術を求めながら成長していく……。

 第165回芥川賞を受賞した『彼岸花が咲く島』は、ある土地の風土、習俗、人の想いを丸ごと描き出さんとする豊饒な小説。著者の李琴峰さん(31)は7月14日夜の受賞会見で、微笑みを湛えながら、

ADVERTISEMENT

「一作ごとに日本文学をアップデートしてきた自負はあります」

 キッパリそう言い切った。

©文藝春秋

 受賞決定の翌日にお話を聞いた。前の晩に会見を終えたあとは時節柄、人から直接お祝いを受ける場などは設けずに帰宅。自身のツイッターに寄せられたお祝いの声すべてに、リプライ(返信)をして過ごしたという。その数、80件超。なんと筆マメなことか。

「受賞していちばん感謝を伝えたかったのは読者の方々。お一人ずつにお礼の言葉を送るのは、私にはごく自然なことでした。SNSをやるのは、自分からどんどん発信していかないと、作品のことを知ってもらえないし読んでもらえないから(笑)。ただし、たとえばツイッターだとどんなことでも140文字で書かないといけない。複雑なものごとを極端に簡略化して、それがあっという間に拡散してしまう危険性もある。気をつけたいとは思っています」