オコエ瑠偉がやってくれた。そう、今回はグラウンドで。そして良い意味で。

 13日に行われた後半戦初戦にスタメン出場。2年ぶり一軍出場となった試合で先制&決勝となるタイムリーを放ちチームの勝利に貢献した。そして昨日14日の試合でも二試合連続となる先制タイムリー。試合後のベンチで爽やかなオコエをみたら、ああ、天性のスターが帰ってきたんだなあと実感した。

 正直このまま一軍で見られないのでないか、ファンからするとそんな風におもった時期もあった。心技体が整わないまま過ごし、一軍試合出場がゼロとなった昨シーズンのオフ。「考えがまだ甘い。自己評価が高過ぎる」と石井GM兼監督に苦言を呈された。

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 その後、春季キャンプ直後に行った左手関節手術。リハビリ期間中、東北新幹線はやぶさのグリーン車で「野球はもうやる気が起きない」と愚痴っていた事を週刊誌に報じられたときは正直本当に心配した。

 オコエ、野球嫌いになっちゃったのかと。

 しかし、リハビリを終え6月からイースタンで試合復帰。やる気ない報道に対してのオコエなりの返答だったのだろう。楽天イーグルスファーム公式アカウントでTweetされた「やる気しかない」という色紙をもったオコエをみて安心したのである。

 

 その後のやる気MAXオコエは、イースタンでは35打数12安打の打率.343、打点4、盗塁1。オリンピック期間中のエキシビジョンマッチでは10打数で3本のヒットを放ちリハビリの順調さを首脳陣にアピール。走攻守の動きに問題がないことが確認され一軍帯同が決まった。

オコエ伝説と言われるエピソードの数々

 甲子園の季節になると、あの夏躍動した関東一高のオコエの姿を思い出してしまう。対高岡商業戦でいずれも右中間を破った1イニング2本の三塁打と、一塁強襲を二塁打にしてしまった積極走塁。対中京大中京戦で魅せたセンターへの大飛球のスーパーキャッチ。そして、対興南高校戦9回表、左翼席に飛び込む勝ち越しホームラン。

 あのポテンシャルMAXでしかないオコエ、リフレイン。

 しかし、知っての通りここまでのプロ野球人生は決して順調ではない。

 ドラフト1位入団後、球団史上初の高卒開幕一軍入り、フレッシュオールスターで優秀選手賞。プロ二年目には44試合出場し、打率.300。本塁打3、打点11、OPS.831をマークもそれがキャリアハイ。ところがその後は奔放なキャラクターだけが印象に残っていく。

オコエ瑠偉 ©文藝春秋

 記者に目指すプレースタイルを問われ「モハメド・アリ」と答えたり(野球なのに)。マセラティ「レバンテ」(約1500万!)、BMW「i8」(約2000万!)を立て続けに購入、推定年俸超えてるけど支払い大丈夫かと心配させたり。調整不足でキャンプイン、温和な梨田監督に「ナイジェリア&ハワイ渡航禁止令」を通達されたり、19年のキャンプイン時には『ふざけた髪型でキャンプインするなら、オレが髪を切ってやる』と平石監督に激オコされてしまうなど、いわゆるオコエ伝説と言われるエピソードでメディアを騒がしていった。

 一方、意外と本人は繊細でネットの反応とかも気にしがち。

 それでいてTwitterやインスタなどのSNSの使い方は危ういことが多すぎて、東京五輪閉会式中インスタライブが話題となったマー君に正しい使い方をレクチャーしてもらいたいな、と思ったりするのである。