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「家族がいなかったら、自分でご飯を作ることはなかったと思うんです」 おかざき真里が「かしましめし」で描いた“楽しく食べる”幸福

おかざき真里さんインタビュー#1

2021/07/30
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「楽しく食べる」ことがすごく大事

──『かしましめし』に出てくる料理は、ホットプレートを使ったり、調理器具がアルミホイルだけだったりと、「簡単」なのも特長です。おかざきさんが食事で大事にされているのはどんなことですか。

おかざき 食事って毎日のことなので、「楽しく食べる」ことがすごく大事だと思うんです。以前私が勤めていた広告代理店の激務を思いおこして、ああいう限られた時間と体力のなかでも、子どもたちと楽しくおいしくご飯を食べるにはどうしたらいいかというのを考え続けてきました。

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 もちろん体にいいものとか、栄養バランスとかも大事なんですけど、それだけにこだわるときっと「楽しい」の部分が減りますよね。私自身もそうでしたが、子どもが小さいときは「ちゃんと作らなきゃ」と思うほど「義務」みたいになって苦しくなってしまうので、たまにはコンビニに行って「みんなでカップ麺を選ぼう」という日があってもいいんじゃないかと思っています。子どももその方が絶対楽しいですしね。

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逆に家族がいるから、毎日ご飯が食べられる

──漫画を描いて、家族のために食事も作って……となると、ストレスがたまりませんか。爆発しそうになることはありませんでしたか。

おかざき 逆に家族がいるから、毎日ご飯が食べられると思っています。私は料理が得意ではないので、家族がいなかったら多分、自分でご飯を作ることはないと思うんですよ。私が作っている食事はまったくグルメではないですが、毎日人と一緒にご飯が食べられるって、それだけでありがたいなあと思うんです。1人だったら、何も食べないで過ごしてしまうだろうなと。

 実際に大学時代も、ご飯を一緒に食べてくれる人を探すためにキャンパスに行っていたようなところがありました。お腹が空いたと思ったら大学に行って「誰かお昼食べていない人、一緒に食べようよ」という感じで探して。会社員時代もそうでしたね。結構不規則な仕事だったんですけど、お昼とか夕ご飯の時間にはできるだけ会社に戻って、誰かと一緒にご飯を食べに行ったりしていました。

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