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「家族がいなかったら、自分でご飯を作ることはなかったと思うんです」 おかざき真里が「かしましめし」で描いた“楽しく食べる”幸福

おかざき真里さんインタビュー#1

2021/07/30
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安くても高級でも全ての飲食店にリスペクトを

──食事は生きる喜びとよくいわれますが、「生命を維持するための食事」と「心が生き返るための食事」の違いはどこにあると思われますか。

おかざき あまり違いはない気がします。むしろ違いがないから、毎日淡々とご飯を作り続けられるんじゃないでしょうか。毎日「生命維持のため」とは思ってないし、まして「コレ食べたらめっちゃ心が生き返る」とも思っていないですし……。

©iStock.com

 でもコロナ禍で、子どもがほぼ毎日家にいて、ひたすら3食作り続ける生活が2か月以上続いたときは、さすがに鬱々としていたみたいです。自分ではまったく気付かなかったんですが、ある日ようやく子どもが3人とも学校に行ったときに、「やった、今日は好きなもの食べていいんだ」と思って、近所に大好物の激辛ラーメンを食べに行ったんです。そしたらめちゃくちゃ生き返って。「何か私、鬱っぽかったんだなあ」と自覚できて、元気になりました。私の場合は数百円のラーメンでしたが、いつ、どんな食事で「生き返る」タイミングがくるかわからないので、まずは淡々と、生き延びてることはすごく大事だと、そのとき改めて思いました。そして厳しい状況ではありますが、安くても高級でも全ての飲食店にリスペクトを。毎日どこかでご飯を食べて、「ああ生き返った」って助かる人がいると思うんです。

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とっておきのレシピは「チーズフォンデュ」

──まだ登場していないメニューでとっておきのレシピがあれば、ぜひ教えてください。

おかざき 子どもの友だちが泊まりに来たときやお誕生日にリクエストを受けて作り続けてきたチーズフォンデュです。チーズフォンデュって、食器を洗う手間と、チーズが固まってしまうのが悩みですよね。それを克服した、めっちゃ簡単で楽しくて、しかも最高においしい「魔改造チーズフォンデュ」があるんです。冷蔵庫のあまり野菜でできるし、乳製品と炭水化物と野菜がバランスよく取れる究極のメニューなので、ぜひ掲載を楽しみに待っていてください。

(取材・構成:相澤洋美)

 【続きを読む 「LGBTQを一種のムーブメントとして描くのは、私の漫画は違うかなと」 人間の“グラデーション”をおかざき真里が感じた、小学3年カナダでの“経験”】

かしましめし 1 (Feelコミックス)

おかざき真里

祥伝社

2017年9月8日 発売

「家族がいなかったら、自分でご飯を作ることはなかったと思うんです」 おかざき真里が「かしましめし」で描いた“楽しく食べる”幸福

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