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左手1本あれば希望を持って生きていける! 手足3本を失ったユーチューバー山田千紘のこれから

『線路は続くよどこまでも』著者インタビュー #2

2021/07/23
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出社時間は前倒し、早起きしてお弁当作りも

――現在、出社する日はどのような1日になるんですか?

山田 今いろいろ発信する時間を作りたいので、出勤時間を変えてもらっています。普通の人より1時間半早く、7時25分から始業。それで午後4時過ぎに仕事を終えて、今日みたいに取材を受けたり。夕方から自分のスケジュールを組めるのは、そういう事情なんです。

――朝、お弁当も作ってるんですよね。

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山田 はい、会社に行く日はお弁当ずっと作ってます。

――そこはラクしようと思わないんですか?

山田 コロナの影響で今は、週3出社・週2在宅勤務なんです。前まで週5で作ってたので、僕としてはかなりのペースダウン。以前は5日分の献立を考えて日曜日に買い物をしてたんだけど、それがたった3日になったのでだいぶラクです。

3色のおかずが入ったお弁当はこんな感じ(本人のツイッターより)

――お弁当もかなり計画的なんですね。家での食事はどうしてるんですか?

山田 最近、夜は軽めでいいんです。今は夜は米を食べない、太る気がして。友だちと一緒だったら、外食で夜、ラーメンでも米でも食べるんですけど、家で1人だとそんなに食べないですね。

オリンピックの聖火ランナーを経験

――そういえば昨夜(7月12日)SNSにラーメンの画像がアップされていたような。

山田 昨夜は、友だちと一緒でした。聖火ランナーの帰りに、送ってもらっていて。

――そうでした、7月12日は聖火ランナーをやってらしたんでしたね。

山田 その友だちみんなに、本当に感謝してます。朝から丸々1日、自分のために予定を空けてくれて。それで夜は仲間でラーメンに行きました。

――聖火ランナーはやってみてどうでした?

山田 やっぱり公道を走りたかったしもっと多くの人にも見てもらいたかった、という気持ちはあるんですけど。すごくいい経験になりましたね。

聖火ランナーを経験した日も、山田さんは仲間に囲まれていた(山田千紘 ちーチャンネルより)

 

――アスリートのご友人もいらっしゃるんですよね。

山田 います。パラリンピックに決まった友だちもいるし、逆に決まらなかった友だちも。

――山田さん自身、走ったりするんですか?

山田 2019年、聖火ランナーに決まった当初は、オズールという義足メーカーの、専用の義足を履いて走る予定でした。オズールの本社で履かせてもらって、調整もして。走るための義足はすっかり出来上がっていたんです。でもコロナの影響でオリパラが延期になって、結局、走る練習まではできませんでした。それで、今回の聖火ランナーの式典は、普段履き慣れた義足でやることになりました。

©️高橋慎一

――走ることには今も興味がありますか?

山田 はい。初めて専用の義足を履いたときに、試しに少し走ってみたんです。事故以来、普段全く走ることはなかったので、本当に久しぶりでした。歩くのとは全然感覚が違って、飛ぶ、跳ねるとか、弾む感じがあるんです。「ああ、こんな感覚だったなそういえば!」と思い出しました。