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「心のチャクラ」は開かれるのか?

 で、私は文字通り、駆け上ったのであった。見下ろすハートレイク。私の心のチャクラは開かれるのだろうか。

 ハート型のコバルトブルーの湖は地球の色みたいで確かに美しかった。

 が、特に涙はでない。

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「でませんね」とがっかりするガイドさん。

「はい、ぜんぜん、変化ないです」

 その後いろんなシャスタ一帯に点在する聖地をめぐった。

「黒曜石の山」オブシディアンともよばれる黒曜石。問題解決能力がある、困難に打ち勝つなどの効果が期待されるパワーストーン。グラウディング(地に足がついている)できていないと発狂する人もいるからあまり連れて行かないとガイドさん。こわっ! ©大宮エリー
「ピンクの光線」私のスマホがなんか乱反射でもしたのかなと思っていたら、誰が撮影しても、ピンク色に写るそうで、こわっ。精霊や妖精がたくさんいるそうです ©大宮エリー

 巨大な黒曜石がごろごろしている場所とか、ふしぎなピンクの光線がふりそそぐ湖とかいろいろ巡ったが、最後に、

「普通は連れて行かないんですけど、エリーさんと行くとすいすいとことが進んでまるでそれぞれの場所が歓待してる感じで……。普通は1週間かかるところ、3日間で回れてしまいました。なので、最終日は私が、三蔵法師の道、と呼んでいる山道を歩いてたどりつける、地上の天国と呼ばれる楽園にお連れします」

 そして私は、もうやめたい、と思うくらいの荒涼とした、砂漠のような道を3時間も歩くことになり、飽きたな、と思っていた時突如、目の前に、嘘でしょと思うような、青々とした見渡す限り草原で、風がふき、湧き水があふれる場所が現れたときに、思わず、わあ、と声をあげた。

「まあるい湧き水」ぽこっと湧いてるんです。聖なるお水。こういう純度の高い水に触れると細胞一個一個が喜ぶのがわかるんですよね。人間のほぼ9割が水ですからね ©大宮エリー

「ここは?」

「天国みたいなところです」

 そうだなと思った。きっと死んだらこういうところにいくんだ。

 私はガイドさんをほったらかして夢中でそのあたりを走り回り、草原をかけぬけ、湧き水がいたるところにあるのをよろこんで、顔をつけてごくごく水を飲んだ。

 そのとき、ぽろっと涙がでた。うっ、うっ、うっと嗚咽のような声も。

「これが……歓喜の涙っていうんだな」と私は思ったのである。

 知らなかった。心が喜ぶってどういうことなのか。