世にも奇妙な不思議体験。
ゾっとすることってある。おばけ話ではなくて、その逆。笠子地蔵的な。
最初のゾッとする旅は、京都。(全2回の1回目)
◆ ◆ ◆
「あ、じゃあ、観音様にお願いしに行ってきて」
友人の経営する庵に滞在していたが、連日の激務のせいか、ある夜、蕁麻疹がでた。薬を飲めばいいのだけれどちょうど持ち合わせもない。疲れるとすぐ蕁麻疹が出る。それもお腹から帯状に、赤くブツブツになって、それが熱を持って痒くてそして痛い。熱い。
「やばいな」
そして私はそっと友人宅をでた。
「急な用事を思い出して、急遽東京にもどります!」
でも本当は、友人を心配させたくなかったから、ホテルに滞在することにしたのだ。
リッチな気持ちになりたいご褒美旅の時に泊まる、ハイアットリージェンシー京都。
チェックインして、藁にもすがる思いで、その、なんか目に見えないものが見える友人に電話。だいたい繋がらないのだけれど一発でつながる。
「すごいやばいんだけど……」
すると友人は、
「あ、じゃあ、観音様にお願いしに行ってきて」
え? 観音様? なに? どこにいるの?
「三十三間堂とか、いるじゃん」
そんで電話は切れた。
なんだよそれーと思いながら、三十三間堂に翌朝行くかと、痛みに苦しみながら検索したら、
「うわぁ!」
隣だった。ハイアットリージェンシー京都の住所ってすごい。三十三間堂廻りなのだ。