Q 記述式・民間試験「実現困難」の流れ…どこに見込み違いがあったの?
大学入試のあり方を議論してきた文部科学省の有識者会議が、2025年以降の大学入学共通テストにおける記述式問題導入と英語民間試験の活用について、「実現は困難」とする提言を萩生田光一文科相に提出しました。
「改革の二枚看板」だった両者ですが、記述式は短い間で一気に公平に採点することが難しく、民間試験も地域で受けやすさに差があり、約50万人が受験する試験として考えてみるといずれもかなり難しい挑戦だったように思います。見送りになる公算が大きくなっている今では「後出しジャンケン」のような疑問ですが、入試改革はどこに「見込み違い」があったのでしょうか。(30代・男性・自営業)
A 無理なものは無理だった、ということです。
大学入試をめぐって、こんな混乱が起きたきっかけは、2013年10月に安倍政権の「教育再生実行会議」が大学入試センター試験の改革を求めたことです。安倍首相肝いりで発足した会議が出した答申ですから、文科省としては、なんとしても改革しなければというプレッシャーを受けます。
新しい制度を導入するためには、まずは必ず「中央教育審議会」に審議してもらって実行に移す段取りになっています。教育再生会議が大学入試センター試験の改革を求めているわけですから、中央教育審議会も同じ結論を出すしかありません。そこで、大学入試センター試験を廃止することを提言。それが現在の「大学入学共通テスト」になりました。
新しい入試制度ですから、従来とは違うものにしなければなりません。それが記述式問題導入と英語民間試験の活用というわけです。
でも入試の現場を知っている人たちからすれば、これは実現困難。改めて有識者会議を設置して、「実現は困難」という提言を出してもらったのです。
現場を知らない人たちの思い付きの提言が政治主導で現場に降りて来たため、現場は実現に必死になったけれど、無理なものは無理だった、ということです。
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