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川谷絵音率いるindigo la Endをベースにした小説『夜行秘密』 作者のカツセマサヒコとYOASOBI・Ayaseが感じたコロナ禍の“負の連鎖”とは

カツセマサヒコ×Ayase対談#2

「人に優しくしたい」――YOASOBIのソングライターAyaseは、今の時代の流れを汲んでそう語る。

 2019年11月に「夜に駆ける」でデビューして以来、コロナ禍の混沌とした人々の心に寄り添いながら、ライブができない異例の状況も逆手に取るなど、この時代だからこそのエンターテインメントを生み出し続けて絶大な人気と評価を獲得しているYOASOBI。

 小説家デビュー作『明け方の若者たち』が大ヒットし、北村匠海主演による映画化も決定し、7月に新作『夜行秘密』を発表した小説家・ライターのカツセマサヒコ。『夜行秘密』は川谷絵音率いるロックバンドindigo la Endのアルバム全14曲をベースに1冊の小説にした作品で、発売後に即重版が決まるほどの人気作となっている。

 今の時代を表現するヒットメーカーのふたりが、音楽や小説の届け方、現代の空気感、人々が抱えている感情について語り合った。(全2回の2回目。前編を読む)

YOASOBIのAyase(左)とカツセマサヒコ(右)

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音楽へのタッチの仕方もファストフード感覚の時代

――今はコンテンツ過多社会だと思います。そんな現在における音楽や小説の受け入れられ方について、おふたりが考えていることを聞かせてください。

Ayase すごくスピーディーになったと感じています。音楽がサブスクリプションで聴かれるようになって、曲の尺が以前より短くなってきているし、音楽へのタッチの仕方もファストフード感覚でパッと摂取できるようになった。でも僕は、この変化はすごくいいと思っているんです。1枚のCDを買うのに店頭でじっくり試聴して、購入したあとは歌詞カードも大切にして、お金がなかったらレンタルしてダビングして……そんなふうにしてCDそのものや楽曲、アーティストに対して愛が深まることはもちろんあります。ただ僕は、いろんな音楽をたくさん聴きたいタイプで、気になったものをいくらでも聴くことができる今のサブスク時代は最高だと思っています。手軽に聴けるようになったからといって、音楽の本質的な価値が下がることはありません。むしろ、実力をごまかせなくなってきています。無名のアマチュアでも、急にバズって頭角を現わすことだってあるし、逆にどれだけ作り手の名前が知られていても聴かれないものは聴かれない。聴くことに対するハードルが下がったことによって、上がったハードルもある。しかも、いつでも確認できるランキングが常にネット上に表示されているというのも、昔だったらなかなか考えられないことです。

 

カツセ どのアプリでも常に1位から50位とかのランキングがいつでもわかりますからね。あれ、エグいですよね。

Ayase 僕らは確実にこの時代だからこそ活躍できていると思っているので、これからもこの流れに振り落とされないように、どう表現していくのかを考えていかなければなりません。