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実力者・篠山選手がメンバーから外れ、日本代表に激震

 チームを指揮するアルゼンチン人のフリオ・ラマスヘッドコーチ(HC)は今大会のメンバー選考の過程でも大ナタを振るっている。

フリオ・ラマス監督 ©️getty

 ラマス体制下の日本代表は178cmの篠山竜青と、167cmの富樫勇樹の2人がポイントガード(PG)の中心選手として引っ張ってきた。篠山はラマス体制になって2年目となる2018年からほとんどの試合でキャプテンを務めてきた選手で、富樫はBリーグ創設から5年間全てでベスト5に選ばれた実力者だ。

 にもかかわらず、今大会に臨むメンバーに篠山の名前はなかった。日本代表に激震が走ったのだが、ラマスHCはその理由をこう説明していた。

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「長い間、信頼関係を築いてきた選手ですので、篠山をカットするのは本当に苦渋の決断でした。ただ、今後、世界規模の大会に臨むのであれば、PGというポジションに180cm以下の選手を2人も置くのは…。世界との競争をしていくのであれば、もっと身体能力の高く、もっと身長の高い選手たちを選ばないといけない」

あくまで短期的な戦略だが……

バスケマンガ『スラムダンク』では“奇策”として190cmの仙道をPG起用する場面がある

 こうして、ラマスHCは、本職がシューティングガード(SG)の田中大貴をスタメンのPGにすえることにした。これはスポーツマンガの金字塔『スラムダンク』で陵南の仙道彰が海南戦でPGに抜擢されたようなものだ。なお、田中がスタメンを任される主な理由は、わずか12ヶ国しか出場できない(※W杯の参加国は32ヶ国)五輪で日本が採用する「守備戦術」のためだった。

 こうして平均身長2m超えのスタメンが完成したわけだが、これはあくまでも短期的な大型化戦略である。

 ただ、中長期的に見たときにも、日本代表は“運動能力的に優秀な子”を集める時代ではなく、“素質”のある子たちを徹底的に鍛える時代へ入っていく気配がある。そのタクトを振るのが、ラマスHCを招へいした日本バスケットボール協会の東野智弥技術委員長だ。技術委員長というのは日本バスケットボール代表のGMのような仕事で、HCを初めとした人事の責任者でもある。