文春オンライン

未解決事件を追う

「大変なことをしてしまった」事件から7年…手詰まりになった「島根女子大生バラバラ殺人事件」に起きた激震――2021上半期BEST5

「大変なことをしてしまった」事件から7年…手詰まりになった「島根女子大生バラバラ殺人事件」に起きた激震――2021上半期BEST5

時効のない「未解決事件」島根女子大生バラバラ殺人事件 #2

note

真面目でおとなしい人物の「もう一つの顔」

 男は山口県下関市出身で、高校は北九州市の私立校、大学は福岡県内にある国立大の夜間部に進学した。真面目でおとなしい性格の人物だったというが、男には、もう一つの顔があった。その後、大学を中退し、アルバイトを転々とする生活を始めた男は、道で女性に刃物を突きつけるなどを繰り返して逮捕され、懲役3年6月の実刑判決を受けている。そして出所後、ソーラーパネルの会社の営業職に就き、2009年の夏から益田市の営業所に一人で勤務していた。営業成績は優秀だったそうだ。

 男が死亡した11月8日は、母親と一緒に、父親の墓参りへ出かけていたのだという。その帰り道、山口県美弥市の中国自動車道でガードレールに激突し、車は炎上。母親とともに焼死したのだった。その直前、男が周囲の知人に、「大変なことをしてしまった」と語っていたことや、現場にブレーキ痕がなかったことから、事故が自殺である可能性も指摘されたが、遺書は見つかっておらず、事故か自殺かは分かっていない。

被害者のバイト先から寮への帰り道付近から見た浜田市街と浜田港 ©谷口雅彦

 そして2017年1月31日、男の容疑は、被疑者死亡により不起訴処分となった。

ADVERTISEMENT

(中略)

 世界に羽ばたくことを夢見ていた真面目な女子大生だったHさん。何の罪もなく、何の落ち度もない彼女の命が、いたずらに奪われたその理由を突き止める道は、被疑者の死亡によって永遠に閉ざされてしまった。そうと思うと、なんともやりきれない、歯痒さばかりが残る結末である。この事件の“真の解決”を見る術は、本当にないものなのだろうか――。

◆◆◆

 事件現場からそこで何が起こったと考えられるのか。そして1ヵ月以上たって発見された靴は何を物語るのか。警察の捜査には見落としがなかったのか。「迷宮探訪」では、元警察官が分析している。

写真:谷口雅彦

迷宮探訪 時効なき未解決事件のプロファイリング

「週刊大衆」編集部

双葉社

2017年11月24日 発売

2021年上半期 事件部門 BEST5

1位:「ママ、死にたい」自慰行為強要、わいせつ画像拡散……氷点下の旭川で凍死した14歳女子中学生への“壮絶イジメ”《親族告発》
https://bunshun.jp/articles/-/48013

2位:「もうええわ!」大阪カラオケパブ女性オーナー刺殺 容疑者がキレた“身勝手すぎる理由”
https://bunshun.jp/articles/-/47491

3位:《立川メッタ刺し殺傷》“人妻を夜這いする”風俗で19歳少年はなぜ犯行に及んだのか「アイマスクで無防備な状態にも…」
https://bunshun.jp/articles/-/47490

4位:「大変なことをしてしまった」事件から7年…手詰まりになった「島根女子大生バラバラ殺人事件」に起きた激震
https://bunshun.jp/articles/-/47489

5位:殺害は2歳の息子の目前で…血痕も足跡も残されながら、未解決事件になっている理由
https://bunshun.jp/articles/-/47488

「大変なことをしてしまった」事件から7年…手詰まりになった「島根女子大生バラバラ殺人事件」に起きた激震――2021上半期BEST5

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー