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「代表的な右翼人士」「日本で“ハーフ”と呼ばれる人々は…」韓国はこの東京五輪をどう見ているか

2021/08/01
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 韓国のお家芸アーチェリーは、前回リオ五輪の金4銅1に対して金4。今回で9連覇となる女子団体戦などで、手堅く金メダルを稼いでいる。

アーチェリーの女子団体で優勝した韓国チーム ⒸJMPA

 その一方で「宗主国」と胸を張る国技テコンドーは、前回金2銅3に対して今回は銀1銅2。正式種目となった00年シドニー五輪以来、初めて金メダルを1つも獲れないというショッキングな結果に終わった。コロナ禍で韓国代表選手が国際大会にほとんど参加できなかった、またテコンドーの普及にともなってライバルが増えたことなどが不振の理由といわれている。

 だがそんなテコンドーで、同じく3局の累計視聴率25.7%を稼いだ選手がいる。7月27日の男子80kg超級3位決定戦で勝利したイン・ギョドン(印教敦・29)がそうだ。

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 彼は大学生だった2014年、血液のがんの一種である悪性リンパ腫と診断されて闘病生活を開始。手術を経て治療に苦しみながらも練習を続け、2015年の光州夏季ユニバーシアードで銀メダルを獲得する健闘ぶりを見せた。ようやく完治の診断を受けたのは、2019年。そして初の五輪出場となった今回の大会で銅メダルを手にしたイン選手に、韓国中が喝采を送ったわけだ。

在日3世の選手が柔道で銅メダル

 同じく銅メダルでメディアの話題をさらったのが、男子柔道のアン・チャンリン(安昌林・27)だ。彼は京都府出身の在日韓国人3世。父方の曽祖父、母方の祖父の代に日本へ渡ってきたという。

柔道男子73kg級は日本の大野将平が金メダル、韓国のアン・チャンリンが銅メダル ⒸJMPA

 アン選手は小学1年生で柔道を始め、強豪の桐蔭学園高校から筑波大学に進学。全日本学生柔道体重別選手権大会などで優秀な成績を収めた。日本国籍でないことから国際大会に出場できず、帰化を勧められたが、「祖父母が命をかけて守った国籍を忘れることはできない」(「東亜日報」同年7月27日付)と固辞。2014年に韓国の竜仁大学に編入し、韓国代表として世界選手権に出場。

 リオ五輪では3回戦敗退の苦杯をなめたが、今回ようやく7月26日の73kg級で銅メダルを手にした。文在寅大統領は同日、SNSを通じて「アン選手の活躍は在日同胞を超えて5000万の大韓民国国民の自負心になりました。私たちはアン選手が祖国に捧げた闘魂を記憶します」とのメッセージを送っている。