「このような診断書を見せられても」
教頭との話し合いでは、18日に倒れてから過呼吸などの症状がおさまらず1週間ほど学校を休んでいた佐藤くんの登校再開時期に話が及んだ。
「病院へ行き、『過呼吸、動悸、不安、抑うつ気分などが認められ、通学が困難な状況になっている。学校におけるいじめが症状の要因になっていると考えられる。このため学校の環境調整を要する』という抑うつ状態の診断だったことを教頭に報告すると、『診断書を持って来てください』と求められました」(同前)
そして翌1月27日、医師に渡された診断書を手に佐藤くんの父親は学校を訪れた。
「診断書を受け取った校長は『このような診断書を見せられても、過呼吸の原因になったイジメが、小学校の時か中学校のときかわからない』と言ったんです。なんてセコい逃げ方をするのだろうと怒りがわいてきました。その後、教室への登校が無理なら別室で授業を受けることも可能と言われましたが、夫は『教室を出なければならないのはイジメ加害者であり、息子ではない。加害者を別室にするべきではないか』と反論しました。それに対する校長の答えは『それは停学扱いになるからできない』というもの。結局、4時間半の話し合いで何ひとつ結論は出ませんでした」(同前)
「このままでは息子が殺されてしまう」
イジメ発覚から約2週間、解決への糸口が見つからない状況が続いた2月2日未明、佐藤くんはついに自殺未遂に及んでしまう。
「部屋でぐったりしている洋二郎とカーテンレールに掛けられた紐の輪を見て、このままでは息子が殺されてしまうと思いました。その日の夕方、今後の話し合いのためにK先生が自宅に来たのですが、洋二郎の自殺未遂について話しても顔色を変えずにメモを取っていて、その姿に言葉を失いました」(同前)
自殺未遂翌日の2月3日、佐藤くんは母親に付き添われて再度病院へ行き、重度のストレス反応の診断を受けた。この診断書には「現在通学している高等学校におけるいじめが症状の要因になっていると考えられる」と明記されている。