財務省が公立小中学校の教職員定数を十年間で四万九千人も減らそうとしているのをご存じ? 少子化が進むため「教員数を減らしても現在の教育環境を維持できる」等と言っているけれど、これからの教育課題を考えれば、現状維持では全く不十分。ただでさえ教員の働き過ぎが社会問題になってるのに、財務省はいったい何を考えているのかしら。「教育現場を理解していない」という文科省の反論は当然よ!

 今、現場では、発達障害の子どもや外国人の子ども、いじめや不登校への対応が急務になっているの。そこで文科省は、教職員定数を十年間で約三万人増やすことを計画中。少子化による自然減(約四万五千人)を考慮しても、「十年間で約一万五千人の削減にとどめるべき」と主張していて、来年度予算の折衝では財務省との激しいバトルになりそうね。

義家文科副大臣(左奥)と教職員定数の改善の件で面会する発達障害支援団体の代表者たち
Photo:Kyodo

 だけど現実には、「通級指導(発達障害児などが別室で授業を受ける制度)」の対象者が過去十年で倍以上、日本語指導が必要な子どもも一・六倍に増えているのよ。発達障害児に手厚い支援を行うことはとても大切。それが彼らの進学や就職の道を拓くことに繋がれば、社会的コストの節約にもなるでしょ。本当は一学級あたりの子どもの数も二十人くらいにしてほしいわ。だって、日本の学級規模の実数は小学校が二十七人、中学校が三十二人と、OECD加盟国のなかで最多レベルよ。

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 このままでは日本は世界の潮流から取り残される一方。九〇年代半ばに教育改革を断行し国家の危機を脱したフィンランドのように、「教育に投資する」という長期ビジョンを持たないと、亡国へまっしぐらよ! 国の借金をこれ以上増やしたくない気持ちはわかるけど、教育はいわば「聖域」。将来的な歳入増加のためにも教育を充実させるべき。財務省はいつになったら目を開くのかしら。