テレビドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』が大人気ね。エンディングの「恋ダンス」もキュートだけど、職ナシ・彼氏ナシの主人公が、恋愛経験ナシの草食系会社員と「仕事として契約結婚する」という物語が、今の世相を捉えているのよ。
最近の調査によれば、二十代の男性のうち結婚願望のある人は三年前の六七%から三九%に、女性は八二%から五九%に激減しているの(今年六月発表、明治安田生活福祉研究所の調査)。恋人がいる二十代男性は五人に一人。ドラマと同様「交際経験ゼロ」の人も二人に一人! 若者が恋愛に消極的な理由は「めんどくさいから」なんですって。
生物としての本能に関わる部分が揺らぎ始めているなんて、こんな時代は初めて。教育の専門家としても無視できない。ため息が出ちゃうわ。ネットやゲームでのバーチャルな恋愛で満足しちゃってるのかしら。
先月発表された別の調査でも気になる数値が。二十代の約二割が「結婚後も子どもはほしくない」と回答。子どもを望まない若者が七年前と比べ倍増したの(国立青少年教育振興機構の調査)。低収入の若者ほど結婚や子育て願望が低いなど、経済的な問題もある。一方で、子ども時代に「友だちとの遊び」「家族行事」といった人間的なふれあいを体験した人は結婚や子育てに肯定的になることもわかったの。ここに現状を打開するヒントがあるかもしれないわね。
また、事実婚、未婚のシングルマザーなど多様な家族の形が許容される社会をつくることも重要じゃないかしら。『逃げ恥』の設定は雇用主と従業員という関係の事実婚。眉をひそめる人もいると思うけど、“結婚のインターンシップ”だと考えれば、そういう形で始まるのもアリじゃない? ドラマの二人も徐々に恋愛モードになってきたし、番組を見て「結婚したくなった」人もいるそうよ。