「カジノ解禁法案」成立をめぐる動きには、どうにも納得できないことばかりね。衆議院での委員会審議はたったの五時間三十三分!「廃案に追い込む」と意気込んでいた民進党も結局は超腰砕け。わずかな修正で成立させてしまった。そもそも賭博は違法でしょ。それを合法化するのだから、慎重に議論を重ねるべきなのにおかしいわよ。
この法案は「カジノを含む統合型リゾート(IR)」の整備を促すもの。推進派は観光振興や経済活性化を謳っているけど、近年は海外のIRも収益が減少傾向と経済効果は疑わしい。韓国など近隣国でも大型IRの建設が予定されているし、後発の日本に勝ち目はあるのかしら。
ギャンブル依存症になる人の増加や青少年への悪影響も心配だわ。だって日本にはギャンブル依存の疑いがある人が既に五百三十六万人もいるのよ(厚労省の推計)。その四割が五十代以上で老後破産が心配されている。なのに依存症対策は大変遅れていて、ギャンブルは言うまでもなく、アルコールや薬物依存の治療施設も圧倒的に少ない。そんな状況でカジノが解禁されたらたいへんよ!
教育者としては、子どもたちがIRに気楽に出入りするうちに、ギャンブルに対する罪悪感が薄れてしまうことも心配! 苦労して働いたことへの対価ではなく、「濡れ手で粟」でお金が手に入る様子を見聞きさせるなんて、最悪のマネー教育だわ。
大阪や横浜など誘致に熱心な自治体もあるけど、仮に経済が潤っても、人を不幸にして儲けたお金でしょ。むしろ日本は「カジノを認めない」モラルの高さや安心感をアピールして、海外から観光客を呼び込むべきじゃない? 考えれば考えるほど、カジノ解禁に突き進む理由がわからない……。拙速な法案成立の裏に何があるのか。「文春砲」がズドンと炸裂することに期待しちゃうわ!