凝った小道具の原点にあった「恥ずかしさ」
——エレキテル連合さんは、ずっと面白いことを続けてらっしゃるし、きわどいラインを突き続けてる。一体日々どういうことを考えながらネタを作っているんだろうと。
中野 何でしょうね。「あるある」を「あるある」に見せないようにっていうのは考えてますね。「あるある」っていう共感はあんまり欲しくなくて。
実はみんなが感じたこととか、どこかで見た風景だからクスッと来るんですけど、それを「ああ、見たことある」「分かる分かる」って思わせないようにやる工夫。それを考えるのが楽しいんです。
——あえてそっち側には行かないようにしているんですね。
中野 「あるある」は私たちじゃなくても達者な方がいっぱいいらっしゃるので。
——だからメイクや衣装にこだわる。
中野 セリフで説明するのがあんまり得意じゃないんですよ。もっと他のことで文字量を増やしたいので、説明はメイクや衣装、小道具で省きたい(笑)。「今コンビニに来たけど」みたいな説明をしたくなくて、小道具でそこは説明しておけばいいかなっていう。
——説明することによってわかりやすくもなるけど野暮ったくもなりますもんね。
中野 そうですね。分かりやすいのも大事だと思うんですけど、自分でやってて冷めちゃうというか。独り言で「ああ、今日は天気いいな」とか「雨降ってるけど、でも行くか」みたいなことを言ってる人ってあんまりいないじゃないですか。
それやるとちょっと恥ずかしくなっちゃうんで、傘を持って「雨だよ」って知らせる。別にどっちがいいとかではないんですけど、私たちは説明してると恥ずかしくなっていっちゃうんで。
——リアリティの追求。
中野 そうですね。言葉が達者じゃないので、なりきらないといけない。
——でもリアリティを追求するんだけど、エレキテル連合に出てくる人は決してリアルな人ではないですよね。
中野 そうですね。バットマンの敵役みたいなキャラクターを作りたいんです。
橋本 ジョーカーとか『13日の金曜日』のジェイソンとか、『エルム街の悪夢』の爪長い人とか。
中野 敵役の方がワクワクするじゃないですか。キャラクターとして確立してる。ああいうのを毎回作りたいなって思ってます。印象に残るもの。それだけでも覚えて帰ってもらったらいい。