インタビューが終わり、取材陣が事務所の外で少し立ち話をしていると、後から日本エレキテル連合の二人が笑顔で出てきた。楽しそうにおしゃべりしながら阿佐ヶ谷の商店街に消えていく。

 コンビは仲が悪い、女性同士は仲が悪い、そんな言説をひらりと覆す、私生活ほのぼの、ネタはゴリゴリエレキテル。嵐のようなブレイクから数年、「トラウマ」と「分かりやすさ」という両極から笑いを作る二人が今テレビに対して思うこと。(3回中の第3回/1回目から読む)

日本エレキテル連合の橋本小雪さん(左)と中野聡子さん(右)

ネタの作り方は「AVの企画モノに近かった」

——なぜ業の深いキャラクターばかりが生まれてくるんだと思いますか?

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中野 うーん……たぶん感情で作っているからじゃないでしょうか。あんまりお笑いが分かってなくて、理論とかお笑いのイロハが分からないまま、自分の感情が動いたこととか印象に残ったことを膨らませているので、そうなるのかもしれないです。

——それは、自分が実際会った人とか会話した人とか、そういうことから発想しているんですか?

中野 細貝さんに関しては、女の人を口説いてる人を見て面白かったので切り取りましたけど、ゼロから作ることもありますし、結構バラバラですね。

——どうやってインプットしているんですか?

中野 インプット……どうしてるんだろうね。よく聞いていただくんですけど。あんまり映画とか見ないし、本も読まないし。インプットが少ないから、素直に心が動いたことが逆に印象に残るというか。でも多いのは、やっぱり街でしょうか。

橋本 ああ。そうね。個性的な人を見ると、「あっ」って二人でちょっと耳傾けちゃったりとか。どういうファッションをされてるのかなとかは見たりします。

中野 あと、「このセリフが言いたい」がために作るとか。

——例えば?

中野 例えば「政治家の愛人やるんだったら、本妻が訪ねてきたときにお茶出すぐらいの器量ってもんを持っときなさいよ!」ってセリフを言いたいがために、愛人を囲ってる政治家のコントを作りました(笑)。

——自分が「こういう役をやりたい」から作られたコントもあるんですか? 

中野 最初のほうはそうでしたね。昔はセーラー服が着たいとかありました。あとは「面会されたい」とか。今みたいにアクリル板を隔てて、すごい地味な人が面会されるっていう設定をやりたかった。そう考えると、初期の作品はアダルトビデオと作り方は近いかもしれない。企画もののね。

 

橋本 そうだね。確かにそうかもしれない。

中野 「不幸に見られたい」もありました。かわいそうって思われたい。女性ってないですか? 悲劇のヒロイン願望。

——最初は「なりたい願望」から作品を発想してて、今はどうですか。どんな感覚で作っているのでしょうか。

中野 最近は開き直っちゃって、平気でブリーフとか穿いてます。もちろん本当に素肌にブリーフを履くとお客さんがビックリしちゃうので、一個タイツは噛ませてるんですけど、それでも昔は嫌だったんですね。ブリーフを女の人が穿いてって。でも、今は……ブリーフが面白いというよりは、必要だったので。

 必要であれば、それが面白ければ、というほうが今は強くなっちゃって。「こういうヒロインになりたい」というのはもう一周しちゃいました。