中野 みんなができることができないんです。上手にしゃべるって芸人としては基本じゃないですか。その辺の大学生のほうがよっぽど面白い。
橋本 ライブが終わって、最後に告知のコーナーがあるんですけど、みんな「どこどこでライブをやります」って、告知も面白くやるのに、自分らは「何日にやります。失礼します」って帰っていく。
その情報すらもちゃんと覚えてないから、紙を見たり、ひどい時は携帯をちょっと出させていただいて。でもそういう時に限ってコントのメイクしてるんで、顔認証しないんですよ。
——(笑)。
橋本 大変なんです(笑)。
「分かりやすくしたい」し、「トラウマも作りたい」
——以前インタビューで中野さんが「分かりやすくすることも考えないといけない」みたいなことをお話しされていて。でも、一方で「トラウマも作りたい」と。分かりやすさとトラウマは、両立するものなのでしょうか。
中野 たぶんすると思います。こっちの「面白い」を押し付けてもそれは違うと思うので。笑って帰ってもらわなきゃいけないのに、昔は自分らの思いばっかり押し付けてました。それってどっちにも得がないですよね。
その時は「トラウマ」っていう言い方をしたんですけど、ようは、自分の「面白い」と思うところ。そこをお客さんに分かってもらうために工夫するのが、やっぱりプロなんだなと思うんです。だから一回作ったネタを何度かかけて「ここが伝わってなかった」という部分はちゃんと変えます。
——そういう風に考えるようになったきっかけってあるんですか?
中野 きっかけは先輩方ですね。爆笑さんもそうですし。あと、とがってる人を見ると、自分を見てるようで。
——反面教師的な……。
中野 反面教師ですね。態度が悪いとかではないんですよ。
——分かる人だけ分かればいい、みたいな?
中野 そうなんです。それも別に否定はしてないんですけど、私はそうはなりたくないので。やっぱり伝わるのが一番なので。ただでさえ伝わりづらいっぽいので(笑)。どう「説明しすぎないように説明するか」っていうのをすごい考えます。
友達すぎて、「逆に良くない」と思う理由
——女性コンビでよかったなと思うことはありますか?
橋本 体調がちょっと悪くなったりする日に、それを分かち合えますね。仕事を一緒にしていかないといけない、ネタ合わせもしなきゃいけない、作らなきゃいけない、いろいろやらなきゃいけない中でも「ちょっと今日、あれで」というのを理解し合えてフォローし合える。「今日持ってる?」「あるよ」みたいな。
中野 バイオリズムがあるんで。「あ、今日不機嫌だな」というのも察してくれる。あと、お洋服を貸し借りできるとかかな。芸の面でのメリットとかはあんまり分からないんですけど(笑)。私たち、友だち?
橋本 うん、友だちみたいな感じ。
——ケンカすることもないですか?
中野 ずっと仲良くて、毎日会ってるんですよ。
橋本 もちろんケンカもしますけど、別にそれで「もうコンビ解散」みたいなことにはならないですね。
中野 ちょっと特殊かもしれない。仲良すぎるかもしれないです。
——珍しいかもしれない。
中野 珍しいと思います。ビジネスと思えないのは、逆によくないっていうか。友達すぎるよね。
橋本 うん。
中野 仕事がなくても、何もなくても会いますし。
橋本 そうですね。普通にご飯も食べに行くし。