昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

特集女芸人の今

「ネイルする暇あったらネタ考えろや」と男芸人が…日本エレキテル連合を苦しめた“偏見”と“芸人のエゴ”

日本エレキテル連合インタビュー #2

2021/08/14

 「あるある」をデコラティブに表現し唯一無二のキャラクターを生み出してきた日本エレキテル連合。面白くなるなら、どんなメイクも衣装も厭わない……彼女たちを“お笑い茨の道”へと突き進ませるそのモチベーション。当たり前のように行われる容姿いじりに、エレキテル連合が「ノー」を貫き続けた理由とは何か。

 テレビと世間と、常になんとなく「気まずい」二人が導き出した、シンプルで切実なお笑い芸人論。(3回中の第2回/1回目から読む)

日本エレキテル連合の中野聡子さん(左)と橋本小雪さん(右)

◆ ◆ ◆

つい、「自己肯定感が高くなる」石を選んで数珠を…

——今までこの特集でインタビューした女性芸人の多くが「自分の肩書きは『芸人』ではない」とおっしゃていました。女性芸人にとって「芸人」と名乗るのはハードルが高いことなんだな……と漠然と思っていて。お二人は「芸人」という肩書きに違和感はありますか?

中野 ないです。なんで皆さんがそうおっしゃったのかも何となく分かるんですけど、たぶん謙遜されてる……「タレント」と「芸人」を使い分けてらっしゃるのかもしれない。私たちはタレント性が低いから、「タレント」とは言えないんですけど、「芸人」ではあると思ってます。

橋本 そうそう。

中野 むしろ芸人です。皆さんは器用で、ものすごく腕があってどちらもできる方が多いんだと思います。ただ、皆さん、自己肯定感はメチャクチャ低いのかもしれないです。

橋本 それでそうやって言う方が多いのかな。

中野 私たちも低いので分かります。

橋本 低いです。

中野 もうコンプレックスの塊。ちゃんとしゃべるとか、気の利いたことを言うとか、基本のコミュニケーション能力が劣ってることを、何より自分たち自身が全然認められなくて。ずっと「しんどい、しんどい」って言ってました。

橋本 こういう仕事は前に前に出なきゃいけないけど、すぐ下がっちゃう。「自分らなんか」って思っちゃって。

中野 芸人は面白いことを言うのが当たり前、面白いことを言わなきゃいけない職業なのに、でも、思いつかない。「自分が言うことなんて」って思っちゃう。生きる上でも自己肯定感が普通の人より低いのに、さらにお笑いとなると、できない自分たちをなかなか認めてあげられない。

 

——なるほど……。

中野 ネタに関しては本当に二人とも自分たちが面白いと思ってるので、そこを否定することはないんですけど。でも、私生活とおしゃべりは、もうちょっと自分をいたわってあげたほうがいいんじゃないかなって思うぐらい否定的です。

——テレビで活躍されている方でも「なぜ自分が番組に呼ばれるのか」が分からなくて不安で、だから数珠のブレスレットを付けたりするのではないか……と考察されている芸人さんもいらっしゃいました。

中野 でも……私も一回その時期はありましたね、数珠のブレスレット。企画で作ってもらったんですけど。「面白くなる」とか「自己肯定感を高める」とか、心を軽くする石ばっかり選んで。

 寝る時も持ってましたね。