——どうでした?
中野 私、そういう暗示に自分をかけられないんですよ。ひねくれてるんです。催眠術もかからない。一回番組の収録でかかったふりしたことあるんですけど……。
橋本 あったね。
中野 私がかかりまくるんで、催眠術の人がどんどん楽しくなっていっちゃって。で、言い出せなくなっちゃって、最後、死んだおばあちゃんを出すって言い始めて。
橋本 私も本当にかかってると思ってました。催眠術師に「相方さん、ここつねってください。思いっきりつねっても彼女は痛くないんで」って言われたから「え、そうなん? すげえ」ってバカみたいにつねって。メッチャ痛かったんでしょう? あれ。
中野 痛かった。だって一個もかかってないから!
橋本 あざになっちゃって。
中野 最初、橋本さんがやって、一個もかからなくて、このままだと何にもならないと焦ったんですよ。一生懸命みんなが用意してくれて、私のためにこの人はかけてくれてるのにって。
——「かかってないけどかかってる」がいかにストレスなく上手にできるかというのが、テレビではとても大切なのかもしれないですよね。
橋本 そうかもしれない。
——催眠術のみならず、お二人はかかりづらかった。
中野 そうですね。全くかからなかったですね。むしろかかろうとしてるのに。
女芸人は、「やればやるほどモテない」
——お二人が芸人を続けるモチベーションはなんでしょうか。すごい成功したいとか、冠番組を持ちたいとか、お金持ちになりたいとか、モテたいとか、そういう気持ちはありますか。
橋本 別にモテたいわけでもないし。
中野 モテないしね。
橋本 そうそう。やればやるほどモテない。ブリーフ穿いたり。歯を黒く塗ってたり。
中野 Aマッソの加納愛子さんなんて、あの子は素晴らしくて。面白ければ面白いだけ男の人にモテるというか。すごいうらやましい。
橋本 ねえ。うらやましいね。
中野 でも、みんな何をモチベーションにやってるんだろうと思って。
——今まで取材をした方たちもそこを聞くと「うーん……」みたいな感じなんです。
中野 ……好きだからだと思いますね。好きじゃないと、こんな。女性としてはマイナスなことを言われるだけなので。
——女性としてマイナスなことを言われたりしましたか?
中野 今は本当にそういうことを言われない社会になって、それは先輩たちが頑張ってくださったからで、すごくありがたいんですけど。私たちが始めた……12年ぐらい前かな。その時は、関西でやってたんですけど、そういういじりが当たり前で。私、それまで直接ブスとか言われたことなかったんです。