いまだに赤い洋服と、タートルネックは避けている
——エレキテル連合のYouTubeで、衣裳部屋を片付けている回ありますよね。
中野 はい。全然再生されてない(笑)。
——そうなんですね(笑)。私、あの回すごく好きです。お二人が昔の小道具や衣装を片付けながら「懐かしいねえ」みたいに話してて、その中で「ダメよ~ダメダメ」の細貝さんのえんじ色のセーターを「ありがとう」って言いながら畳んでいるのにジーンと来ちゃって。
中野 あれ、見るだけでいろんなものがこみ上げてくる……。
——「あの頃赤いものはもう着たくなかったもん」って中野さんがおっしゃっていて。
中野 いまだに赤と、タートルネックのセーターは着れないです。
橋本 細貝さんになっちゃう。
中野 タートルネック着てる人の顔が細貝さんに見えちゃう。だから、あの組み合わせ……ジャケットと赤いものはちょっと避けてます。
——他のインタビューで、実はあのコントは本来朱美ちゃんが主役ではなかったって話してましたよね。本当は細貝さんのほうが主役のコントだったと。
中野 そうです。おじいちゃんの哀愁しか興味がなかったので。朱美ちゃん側はどうでもいいんで、とりあえずロボットでいいや、っていう。ロボットというか、ダッチワイフなんですけど。でも、やっぱり朱美ちゃんはインパクトが強いので。
橋本 白塗りとあの衣装のインパクトはすごいですよね。
朱美ちゃんが壊れ始めると、客席から悲鳴が…
——お二人がやろうとしていたものというのはどんなコントだったんですか?
中野 孤独な人……いや傍から見ると孤独なだけで、本人はとても楽しんでるんですけど、そんなおじいちゃんが人形をずっと口説いてる。でも、最初はみんな人形って分からなくて、ただ変な女の人を口説いてるんだけどその女の人が「ダメよダメダメ」とかしか言わない。最後に「人形だから……」っていうネタばらし。
すいません、説明が下手くそで。
橋本 一番最初は、本当にただおじいさんが女性を口説いてるだけだったんですよね。でも、ネタとして出す時にもう一つ、オチがないとって考えて、急に思いついたよね。
中野 ダッチワイフにしちゃえって。もともと口説いてくるおじいさんに対してああいうあしらい方をしている水商売の方を見たことがあったんですよ。「ダメよダメダメ」って、イエスでもノーでもないように取れるような、独特のあしらい方。
——最後に「実は人形でした」ってだいぶシュールですね。
中野 すごい怖いですよね。みんなキャ~ッて言っちゃう。
橋本 そう。最初は客席から悲鳴が上がってました。まずコントが始まるときに明転して悲鳴。で、話が進んでいって「なんだこれ」みたいな。そしてオチあたりから「イヤ~」、朱美ちゃんが壊れ始めたら「ぎゃあああ」って悲鳴が上がってました。