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《財務省》超エリート官僚が夜の接待で下衆な遊びを…「男性のシンボル周辺の陰毛に火を点けて燃やし…」「まだ、毛が生え揃っておりません」

『財務省の「ワル」』より#1

2021/08/09

genre : 社会, 読書

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「呪われた82年組」

 主計局の主流をほぼ無傷で歩んだ福田も、結果的にワルの文化から抜け出すことができず、セクハラに及んでしまった。このOBは、「一度根づいてしまった文化は、なかなか変えることができない。福田が最後の徒花であってくれるといいんだが……」と、心なしか声のトーンを落して話した。

 もう1人、公文書改ざんの佐川。財務省の調査で、理財局長当時の佐川が改ざんを主導した事実が明らかになったのを受け、改ざんを強制されて自殺に追い込まれた近畿財務局元職員の妻が訴訟を起こし、現在進行形の不祥事として終止符が打たれる気配が見えない。 

©iStock.com

 財務省のワルは単なる遊び人というだけでなく、にっこり笑って人を斬る、あるいはヤクザ顔負けに強面ですごんで見せる……といった側面も併せ持つ。森友学園への国有地売却問題で国会答弁に立った佐川は明らかに後者の典型であり、不遜で攻撃的な話しぶり、野党議員に対しては挑発的とも思えるやり取りが目立った。

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 ある現役幹部は、「OBも含めて、佐川さんを擁護しようという声は一切出なかった」と断ったうえで、むしろ「停職3か月相当」とした処分内容に強い疑問を呈し、財務省も堕ちるところまで堕ちたという思いを吐き出すように語った。

「新人の頃から口を酸っぱくして教えられるように、役人が決裁文書を書き直すとなったら、それだけで一発アウトですよ。改ざんに手を染めて3か月の停職で済むとはとても思えないし、なぜ懲戒免職にしなかったのか理由がわからない。組織を守る時は個人の処分をきちんとしないといけないのに、あれだけでも財務省が腐った組織であることが証明された。ワルの文化を一掃しようとした大蔵省不祥事に伴なう大量処分の教訓が全く生かされなかったばかりか、失われた信用はこの先十年かかっても取り戻せないでしょうね」 

 森友問題は安倍晋三政権から菅義偉政権に替わっても、引き続き国会で真相究明を迫られ続けている。「呪われた82年組」との陰口がいまだに省内でささやかれる今日、「財務官僚=超エリート」という通説にも完全にとどめを刺されたと見ていいのではないか。

財務省の「ワル」 (新潮新書)

岸 宣仁

新潮社

2021年7月19日 発売

《財務省》超エリート官僚が夜の接待で下衆な遊びを…「男性のシンボル周辺の陰毛に火を点けて燃やし…」「まだ、毛が生え揃っておりません」

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