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表現の源は“悔しさ”から

――今は海外の配信サイトの会社が壮大なスケールの作品を作っていますね。

 世界レベルを求められてもおかしくない時代が来ているのに、日本でカーチェイスは無理ですと言うのは悔しい。しかし、逆に今の日本映画界はどこまでできるのか、アップデートするために限界を知ることが重要だし、常にチャレンジしないといけませんから。

――表現の源はどこから生まれるのでしょうか?

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 悔しさですかね。助監督時代はいろいろなVシネマをやっていましたが、監督を助けるためにああでもないこうでもないと必死にアイデアを出すわけです。例えば、さっきの話じゃないですけど、1億を5000万に減らされた時に、ただサイズダウンするんじゃなくて、こういうアイデアならもっと変なことになって面白くなるんじゃないですかとか。でも採用されることは滅多にない。そういう悔しさの蓄積もあります。あとはお隣・韓国では、エグい残酷シーンを入れながらもしっかりエンタメしている韓国ノワールがある。じゃあ日本は何で勝負すればいいのか。そういうことはしょっちゅう考えています。

©2021「孤狼の血LEVEL2」製作委員会

リスペクト・トレーニングで現場の雰囲気が完全に変わった

――本作クランクイン前日にリスペクト・トレーニングを行なったそうですね。お互いがリスペクトを持って現場を共にする意識を持つという訓練ですが、現場の雰囲気は変わりましたか?

 完全に変わりました。もともと、僕はみんなの前で大声で誰かを怒ったり、ハラスメントにあたることはやめようとずっと言い続けてきたんですけど、今回のリスペクト・トレーニングで、みんなにそれをしっかり認識してもらったことですごく働きやすくなって、笑顔が増えたし、風通しが良くなりました。役者にもいい影響があって、やりやすかったと言ってもらいましたね。僕ら以上に役者って、若いスタッフが怒られているのを見るらしいんです。そういう場面を目撃すると、人間は自分が悪くなくても気分が落ち込みますよね。実際、僕も助監督時代に怒鳴られたり殴られたり、僕自身も下のスタッフを怒ったりしていましたが、時代に合わせたアップデートは必須。人に喜んでもらうものを作るのにそんなことじゃ面白いものを作れるのか疑問です。