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──お笑いにハマったきっかけは?

久世 関西出身なのでお笑いは常に身近にありましたが、高校生の時にジャルジャルさんを見て「お笑い沼」にハマりました。いま注目しているのは、金属バットさんです。「面白い」と言うのが失礼なくらい天才的に面白いのに、自分たちについてはあまり語らないところもクールでいいなと思います。

 私的な感覚ですが、人を泣かせるより怒らせるより、笑わせることがいちばん難しいと思っています。だからこそ、日々人を笑わせることに奮闘しているお笑い芸人の方たちを心から尊敬しています。

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実はストイックな「笑い」を生み出す作業

──「お笑い」そのものではなく、「お笑い芸人」をモチーフにしたのは、芸人さんへのリスペクトを描きたかったからですか?

久世 「お笑い」を扱った漫画というと、コメディやギャグを思い浮かべる方が多いと思いますが、「笑い」を生み出すまでの作業は実はすごくストイックで、ある種「笑い」とは対極にあります。

 お笑い芸人のみなさんは、舞台の上では笑っていますが、実際にはすごく苦労しながらコントや漫才のネタをつくっていると思います。「人を笑わせる」って、実は苦しいことの方が多いのではないかと考えたら、どうしてもそこに着目して描かずにはいられませんでした。

 人を笑わせたいという人間の思考や心の内側を描くのはすごく難しいので、自分にとっても大きなチャレンジですが……。

──具体的にどのような部分が「難しい」ですか?

久世 読者が期待する「笑い」の部分と、お笑い芸人が笑いを生み出すまでの苦しいストイックな部分をどう調理していくかというバランスがすごく難しいです。

 でも、『ニラメッコ』で伝えたいのは、「笑いを生み出すのって、こんなに大変なんだぞ」というメッセージではありません。むしろ、「こんなふうにつくられているんだ」と、お笑いやお笑い芸人に興味を持って、実際のライブや舞台に足を運ぶ人が増えたらいいなという期待のほうが大きいです。ただ、コロナ禍で「もっと劇場に足を運んでください」と言えないのはもどかしいですね。