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 私は権力を持つ年長の人を「おやじ」と呼んでうっとり語る政治家やプロ野球選手は要注意だと昔から言っています。「半径10メートル以内」の内輪の関係性を公にひけらかす意識が見えるからです。自分もこんなに権力者に近いんだという。 

 ましてや自分のことを「おやじ」と呼ばせる権力者にはもっと警戒したい。そこに漂うのはマフィアのボスみたいな、身内にはやさしいがひとたび敵となった相手にはえげつない態度も見えるからだ。

河村たかしの「かじりっぷり」「逃げっぷり」

 河村たかしの「気さく」の裏にもそんな気配が漂う。あのおじさんがかじったのは金メダルだけではない。愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を河村は支援した。しかし署名の8割が無効とされると「僕も被害者」と語り、すぐに運動から距離を置いた。このかじりっぷり。逃げっぷり。

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 今回の金メダルについて「(かじった)跡は付いとらんと思う」と言っていたが、リコール署名偽造の件でかじった「跡」のほうも気になる。大儀としては税金の無駄使いを言っていたが、そんなキレイごとではなかったことはハッキリと跡がついている。ゴチャゴチャ言うなら選挙だという「気さく」で獲得した力の過信も透けて見える。

 さらに権力者の気さくの恐ろしさをあげよう。

 表敬訪問では、河村市長は選手に対して「旦那いらないか」「恋愛禁止か」などの質問もしていたのだ(FNNニュース)。セクハラ・パワハラとしか思えないものを平気でぶつけるのも「気さく」に含まれてしまうのである。しかも権力者だからゆるされ放題で、半径10メートル以内の部下などは笑って見るしかないのだろう。気さくは恐ろしい。

 己の力を見せつけるためにかじりたがる権力者は河村たかしだけではない。五輪つながりで言うと森喜朗はずーっと松井秀喜をかじってきた。