中国の在外公館の公式ツイッターアカウントでありながら大量の美少女イラスト(自作)をアップロードしていた中華人民共和国駐大阪総領事館(@ChnConsul_osaka)。では、これらのイラストを描いた領事館員はどんな人物なのだろうか?
本来、中国の在外公館はインテリジェンス組織(情報機関)としての役割も強く、個々の館員の素顔を知ることは難しい。だが、地道に調べれば手がかりは見つかる。それは駐大阪総領事館の管轄圏内である神戸市の王子動物園が飼育していた、パンダのタンタンに関する交流イベントだ。地元紙にこんな報道がある。
神戸市立王子動物園(同市灘区)のジャイアントパンダ「タンタン」を女の子に見立てたキャラをあしらったクリアファイルが、ファンの間で評判となっている。製作したのはタンタンの故郷、中国の駐大阪総領事館。タンタンの帰国決定後、ファンらの惜別の気持ちに心を動かされたという男性外交官(26)が発案し、感謝の気持ちを込めて希望者に配布した。(坂井萌香)
ファイルには、花束を抱え、涙目で「20年間ありがとうございます」と感謝の言葉を述べている女の子。裏返すと、タケノコを頬張る姿が描かれている。
同総領事館によると、発案した外交官はアニメ好きで、業界に関わる知人の意見を参考に、パソコンのデザインソフトでイラストを制作。あえて人間の女の子として描いたのは、日本の文化に寄り添う思いからだ。(以下略)
(「タンタン、女の子キャラに変身 アニメ好き中国の外交官発案」『神戸新聞NEXT』2021/4/15 14:40)
この26歳のオタク男性外交官こそ、中国の駐大阪総領事館のツイッター運用担当者で、自作の萌え美少女画像を大量にアップしていた張本人だ。今回話題になった「口が嫌だと言っても、体は正直なものだ」発言も、おそらく彼が書き込んだとみていいだろう。(全2回の2回目/前編から続く)
若手館員が中国国内SNSのノリで失敗?
「例のツイートは、微博(Weibo)のような中国国内のSNSの公式アカウントのノリの延長線上にあったと思います」
駐大阪総領事館アカウントの「口が嫌だと言っても、体は正直なものだ」発言について、本記事前編に登場した『中華オタク用語辞典』の著者、はちこはそう話す。
「中国の公式アカウントの運営者は、たとえ真面目な話題であっても、バリバリのネット用語やミームを使ってフォロワーとの距離感を縮めようとするんです。【口嫌体正直】は、仮に中国語で発信していれば中国ネット民には大ウケしていたでしょうね」
例の総領事館員は、中国国内のオタク文脈では面白いと感じられるジョークを飛ばしてみせたものの、その表現が本来はどういう文脈から生まれた言葉で、肝心の日本人にどう受容されるかを考えていなかった。ゆえに、とんだ赤恥をかいたというわけだ。