64歳のおっさんがツイッターで、足フェチ向けエロ動画に「いいね」を付けたことで主要国のメディアが大騒ぎ。赤っ恥をかいた中国大使館が声明を出した──。と、こう読んでもさっぱり意味がわからないと思うが、とにかくそういう事件が起きた。
渦中の人となったのは、中国駐英大使の劉暁明だ。1956年広東省生まれで、毛沢東時代の1974年に中国外交部に入部。アメリカ大使館公使や北朝鮮大使などを経て、2009年に駐英大使への大抜擢を受けた人物である。
厳しい言論統制が敷かれている中国では通常、中国国内からのツイッターやフェイスブックなど西側のSNSへのアクセスがブロックされている。だが、昨年ごろから内外に向けた世論工作を意識してか、主要国の中国大使館・領事館や著名な外交部(外務省に相当)職員らにツイッターアカウントを開設させる例が目立っている。
もちろん劉暁明もアカウントを開設中だった。のみならず、後述する事情から、世界的に見ても最も名前と顔を知られている中国の外交官の一人であった。
“ふしだら人妻の日常”に「いいね」してしまった
事態は9月8日夜に起きた。劉暁明のツイッター公式認証済みアカウントが、「騷妻日常」(ふしだら人妻の日常)と名乗るアカウントの投稿に「いいね」を付けていることが確認されたのだ。
劉暁明が「いいね」した当該のツイートは「ハッピーなイケてる独身男ね。まずは身体を温めてあげるわ」という挑発的な文言に加えて、黒ストッキングを履いた女性とみられるセクシーな脚が、男性自身をねっとりと愛撫するという過激な内容の10秒間ほどの動画(なお無修正)であった。
なお文化背景を解説しておくと、中国は往年の纏足の伝統ゆえか、女性の足にフェティシズムを覚える男性が非常に多い(ゆえに中国の性風俗店では、女性に黒い網ストッキングを履かせるかどうかが標準オプションになっている店も多い)。
ふしだら人妻の美脚フェチ動画を高く評価した劉暁明64歳は、異国に身を置きつつも漢民族の伝統的な嗜好に忠実な、違いのわかるナイスミドルだったと言えるだろう。
もっとも問題は、劉暁明がそこらのスケベなおっさんではなく、中国の外交官のなかでもトップクラスの有名人で、この事件の時点で8万数千人のフォロワーを抱えるアルファ・ツイッタラーだったことだ。