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足フェチ動画に“いいね”…中国イキリ外交官64歳が「世紀の誤爆」で大炎上の悲劇

「これが俺の棍棒外交だ」

2020/09/13
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「劉暁明さんがいいねしました」

 不幸なことに、ツイッターは投稿拡散機能のリツイート(RT)だけではなく、「いいね」したツイートもフォロワーに拡散される仕様となっている(これを知らず、ブックマーク機能がわりに「いいね」を使っている人は意外と多い)。ゆえに劉大使が気に入った「ふしだら人妻の日常」動画は、全世界のフォロワーたちのタイムラインに「劉暁明さんがいいねしました」という残酷な文言とともに広がることになった。

 中国大使館はこれに狼狽し、同日中に公式ホームページ上に「反中国分子の悪意ある攻撃を受け」ツイッター社に真相究明を求めるとする声明を発表。この声明は中国系メディアにも次々と転載された。

慌てて「悪意攻撃」「手段卑劣」と声明を出す中国駐英大使館。中国大使のアカウントに侵入しておきながらエロ動画に「いいね」するだけで去っていくスーパーハッカーの手腕には脱帽するしかない(中国駐英大使館HPより)。

 また、劉暁明のアカウントは翌9日、問題の「いいね」を含めた20件近くのいいねを一気に削除している。

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 やがて、この一件は劉暁明の知名度もあってか、アメリカの『ニューヨーク・タイムズ』や『ロイター』、イギリスのBBCや『サン』、フランスのラジオ・フランス・アンテルナショナル、香港の『蘋果日報』など、世界の錚々たる大メディアで報じられていく。

これぞ「棍棒外交」ってやつかい?

 また、イギリスの人権活動NGO・アライズ財団の理事長で香港問題やウイグル問題に関心が深いルーク・ド・プルフォード(Luke de Pulford)は、劉暁明の「いいね」投稿のスクリーンショットとともに「これぞ『棍棒外交』ってやつかい?」というイギリス人らしいウィットに富んだ文章をツイッターに投稿して話題になった。

プルフォードのツイート。なお棍棒外交(Big Stick Diplomacy)は、20世紀初頭のアメリカがおこなった中南米への積極介入外交のこと。中華圏では「巨棒外交」と書くことが多い。
 

「棍棒外交」とは、現在、世界中と摩擦を起こしている中国の傲慢な姿勢を想起させる表現だけに、プルフォードのツイートはバカ受けし、当該のツイートは日本時間12日正午までに約5900件のリツイートと約9500件の「いいね」を獲得する。

 もっともプルフォードのツイッターアカウントは、激怒した劉暁明からブロックされてしまった。

 また、劉暁明の炎上を受けて、台湾や香港のネットユーザーは中国による他の「棍棒外交」を探すことに熱中する。結果、9月10日に明らかになったのが、平素は劉暁明以上に強硬な発言が多い中国外交部の趙立堅副報道局長(河北省唐山市出身47歳)の一件だ。