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ウイグルの動画に「何の映像か分からない」
今回の騒動を起こした駐英中国大使の劉暁明は、趙立堅と並んで戦狼外交を象徴する人物として有名だ。特に今年7月上旬、香港の国家安全維持法の施行を受けたイギリスが、最大300万人の香港人に旧宗主国である自国の市民権を認める意向を見せた際には、「イギリス政府が無責任な発言を繰り返している」「重大な内政干渉」と激しく反発したことで知られている。
また7月19日、劉暁明がBBCのニュース番組に出演して、新疆ウイグル自治区でウイグル人が目隠しをされて列車に乗せられる様子とみられる映像を見せられ「何の映像か分からない」と述べたり、話題を強引に変えて新疆の自然の美しさをベラベラと語り出したりした行為も、世界中から強い非難を浴びていた。
64歳のおっさんが10秒間の足フェチ動画に「いいね」するという、本来はまったくもってどうでもいい問題が全世界規模で燃え上がったのは、深刻さを増す香港・ウイグル情勢とそれに開き直る中国当局を象徴する人物が見せたつまずきに対する、西側諸国の意趣返しという面もあったのだろう。
なお、劉暁明は9日、彼のアカウントが「悪意ある攻撃」を受けたと伝える駐英中国大使館のツイートを引用する形で、事件に対して「A good anvil does not fear the hammer.(良い鉄床はハンマーを恐れない)」とコメント。これは中国人が好む英語の言い回しで、意訳すれば「強き人間は困難多し」といったところだろうか。
いろんな意味で棍棒を振り回す中国の戦狼外交は、今後も続くことになりそうだ。