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「社会で通用しない経験」を学校で強いているのではないか

 こういうのを見るにつけ、学生の行動を縛ったり、厳しい規則を守らせることに血道を上げる教育を施した結果、実際にはもっと多様で人それぞれな人生模様について対応できない人間が量産されてしまっているのではないか、という懸念を持つわけであります。社会に出てもあんまり使われないようながんじがらめの規則を守らせるよりは、妊娠期間中はデリケートなのだから、なるだけしっかり休んで健康な赤ちゃんを産んであげるべきだってことのほうが大事です。きちんと保健衛生についてや、セックス、妊娠についての教育が行われてさえいればこういう悲劇は減るのでしょうが、そういうことは教えずに、変な校則で生徒を縛ることのほうにエネルギーが使われているのが残念です。「地毛証明書」があれば赤毛や天パも許す、っていう謎のしきたりを更に超えて「生まれつきの金髪も白髪も黒く染めないと出席を認めない」とか信じがたいわけですよ。私なんか大阪で府立高校に通ってたら白髪で天パの教頭に「髪染めてこいよ(笑)」とか言われてしまうわけですよね。そりゃ不登校待ったなしですわ。

©iStock.com
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 しかもそういう校則への支持者もネットにはいて「茶髪は犯罪への第一歩」とか言い出す変なのがゾロゾロいるんです。頭痛がします。学生にはそういう微妙にくだらない規制をしておいて、テレビの報道番組で出てきた教頭が白髪の天然パーマであったという。お前がまず黒く染めてストレートパーマでもかけろと日本国民が30万人ぐらいテレビの画面にツッコミを入れていたんじゃないかと思います。黒髪強制は多様性云々という以前に「社会で通用しない経験」を学校で強いることの是非が問われるんじゃないかって感じるんですけどね。

だからイマイチ救いのない世界観が広がっている

 つまりは、学校で教えるべきことを教えず、生活を便利にしたり、健康を保ったり、身を守るための知識の伝授をおざなりにした結果、黒髪だったけど妊婦で旅行に行っちゃう若い女性と、それを見て止めない周囲というイマイチ救いのない世界観が広がっているのでしょう。

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 もっとこう、バランスの良い決め事とか規制ってのは無いもんなんでしょうか。