ゲームソフトの売れ方の“常識”を覆してきたマリカー
「マリオカート8」は、すでに発売から4年が経過しました。しかも、もともとは2014年にWii U向けに発売されたもの。身もふたもない言い方をすれば、Switch版は追加コンテンツを搭載した「移植版」なのですが、足かけ8年以上も売れ続けているのです。
興味深いのは、最初から「あつ森」のように極端に売れたわけではないこと。発売初年度(2017年度)は922万本でもちろん大ヒットではあるのですが、「あつ森」に比べれば半分にすぎません。しかし、2018年度は747万本、2019年度は808万本、そしてコロナ禍の2020年度は1062万本とハイレベルでかつコンスタントに売れています。
もともと、「マリオカート」はよく売れるシリーズです。ニンテンドーDS版の「マリオカートDS」は2360万本。Wii用「マリオカートWii」も3738万本を出荷しました。
ニンテンドー3DS版の「マリオカート7」は1894万本、Wii U版の「マリオカート8」は845万本の出荷です。上記の2本に比べると低く見えるかもしれませんが、それぞれ3DS・Wii Uで最も売れたソフトです。Wii Uに至っては本体の出荷台数が1356万台ですから、Wii U購入者の6割以上が「マリオカート8」を購入した計算になります。
なぜ任天堂のソフトは「長く売れるのか」
任天堂の看板ソフトは、このように長期間売れる傾向にあります。さらに日本でもよく売れていますが、海外でもそれ以上に好調です。実際、「マリオカート8」の海外の占める割合も、前年度通期と今四半期は8割以上になっています。
ゲームソフトは基本的に、発売日に一気に売れ、その後は次第に売れなくなる商材です。もちろんソフトによってタイプは違いますし、今は追加バージョンアップもあるので、ソフトの売れる寿命は長くなる傾向にありますが、最初の2カ月で全体の8割を売るという見立てが業界ではいまだによく言われています。
その中でも任天堂のソフトがなぜこれだけ「長く売れるのか」。それは、安定した面白さが期待できるソフトを出す「実績」と「信頼感」が大きな要因でしょう。
ゲームソフトは「企画時に面白いと想定したものの、実際に作ってみたら案外つまらなかった」「作ってみたら予想外にとんでもなく面白い!」など、作ってみなければ実際のところどうなるか分からない商材です。どうしても、ユーザーの好みにあわない「つまらないゲーム」は一定の確率で出現してしまいます。