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あまりに説明不足だった盆踊り

 5年前のリオ五輪では、閉会式に参加した選手と観客が一体となったサンバで大団円を迎えた。それに倣ったのか、東京五輪では「東京音頭」、つまり盆踊りを取り入れた。

 オーロラビジョンには、盆踊りに参加する外国人選手が映し出されていたが、それはほんの一握りで、多くは無関心で芝生に寝転がる選手も多く、式典終了が近いことを察してか、我先にと国立競技場を後にする選手も続出していた。演者が間隔をあけて、スローテンポな盆踊りは飛沫の心配をする必要がない日本特有の“ダンス”だが、その理解をアスリートに求めるにはあまりに説明が足らなかった。

 オリンピックは、世界中の人が集まる「大運動会」だ。開会式のドタバタのしわ寄せが、閉会式の演出にドッと押し寄せた印象を受けた。オープニングが見事だった分、グランドフィナーレとしてはあまりに陳腐で、無事に開会式と競技全日程を終えられた安堵感からか、気の抜けたシャンパンのように味気ないセレモニーだった。

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閉会式の長さに、途中で退出する選手も続出した ⒸJMPA

五輪の閉会式と甲子園の開会式をはしご

 五輪閉会式の10時間半後——。

 8月9日の朝9時から全国高等学校野球選手権大会の開会式はスタート予定だった。新幹線の始発に乗って新大阪を目指せば、甲子園球場には8分前に着く。強行スケジュールとなるが、五輪の閉会式と甲子園の開会式を“はしご”する人もほとんどいないだろう。ところが、雨予報のために五輪閉会式が始まる前には甲子園開会式の順延が決まっていた。

 8月10日。快晴の甲子園の記者席に座る。いつものように黒土と外野の緑の芝のコントラストが目に飛び込んでくる。開始の20分前になって49代表校の選手が外野に集まってくる。今年は式を簡素化するため、いつもの場内を一周する入場行進は行われない。

 開始時刻となり、まずはミュージカルで活躍する俳優・山崎育三郎氏による『栄冠は君に輝く』の独唱だ。アカペラで3番までじっくりと聴かせた。そして入場行進は向かって左側の北北海道代表・帯広農業からアナウンスされ、10メートルほど前進して立ち止まる。小気味よく沖縄代表である沖縄尚学まで行進を終えると、今度は全参加選手がいっせいに内野の黒土付近まで前進した。

 プラカードを持つ市立西宮の女子生徒も例年と変わらず、行進曲や国旗掲揚時の演奏は大阪府内の17校50人が担当した。

 行進が終わったところで、熱中症対策として3年前から取り入れられた給水タイム。各選手がポケットに忍ばせてあったペットボトルを口に含む。

 そして大会会長ら3名の役員の挨拶が続く。SNSでは「挨拶が長すぎる」「マスクをした選手たちが熱中症になっちゃう」という声があふれたらしいが、バッハ会長の挨拶に比べれば冗長な印象は受けなかった。