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「うぉ~、うぉ~」「わたしはもう駄目…殺される」震災被災地で“除霊”を行う住職が目の当たりにした“異様な光景”

『死者の告白 30人に憑依された女性の記録』より #1

2021/08/24
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「塩おにぎりを2個ほしい」

 ジュンヤ少年が出ていく儀式を始める前に、彼は「塩おにぎりを2個ほしい」と言った。塩おにぎり? 金田住職は「なんで?」と尋ねた。

「朝練でお腹がすくから、お母さんが練習後に食べるようにって、いつも塩おにぎりを2個持たせてくれたんだ。それを食べないまま交通事故で逝ったのが悔しい……」

 金田住職は、夫人に急いでおにぎり2個を握って持ってくるように伝えた。

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 憑依された状態の高村さんの前におにぎりを置くと、読経を始めた。ひと通り終わろうとする前に、ジュンヤ少年が前に供えられたおにぎりに口をつけた。

©️iStock.com

 金田住職は、彼(実際には高村さん)が実際におにぎりを食べたかどうかは覚えていないが、ただその時、高村さんの口を通してジュンヤ少年が「美味しい!」とひと言を発したという。そのあとで、憑依が解けたらしく、高村さんは普段の彼女に戻った。

 高村さんの記憶はウェットで金田住職のそれはドライな印象があるが、見ている立場が違うのだから差があるのは当然だろう。しかし、基本的な流れは変わっていない。

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