安倍晋三 首相
「謙虚な姿勢で自民、公明両党の強固な安定した連立基盤の上に真摯な政権運営に当たる」

時事ドットコムニュース

 1週間の名言、珍言、問題発言を振り返る。11月1日、衆院選を受けた特別国会が召集され、安倍晋三首相が第98代首相に選出された。同時に全閣僚を再任し、第4次安倍内閣が発足した。

 首相官邸で記者会見を行った安倍首相は、冒頭発言で政権運営について「謙虚な姿勢」をあらためて強調。森友・加計学園問題への対応などで「傲慢」「驕り」を指摘されて支持率を落として以来、「謙虚」と「丁寧」は安倍首相のキャッチフレーズのようなもの。「ああ、またか」と思った人も少なくはあるまい。

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 実際、これまで与党は特別国会について「8日間」の会期を強く主張していた。8日間のうち、連休とトランプ米大統領の来日が挟まるため、実質3日間ほどしか国会が開かれないことになる。また、このままでは2017年の会期の合計は159日間で、現憲法下では2番目の短さになることも明らかになった(毎日新聞 10月31日)。

 さすがに世論がザワザワし始めたためか、与党は急遽、会期を12月9日までの39日間とする日程を提案して野党も合意した。安倍首相の所信表明演説や各党代表質問も実施する。自民党役員会でも「衆院選で自民党は丁寧に説明すると約束したのに、国会で審議しないのはおかしい」という声が出ていたという(産経ニュース 11月1日)。

「丁寧に説明する」という約束はどうなる? ©EPA=時事

菅義偉 官房長官
「国会議員が等しく質問できるよう、各会派に議席数に応じた質問時間の配分を行う。それは当然のことだ」

朝日新聞デジタル 10月30日

 自民党の石崎徹衆院議員ら当選3回有志が、慣例でおおむね「与党2割、野党8割」としてきた質問時間の配分を見直し、与党の持ち時間を拡大するよう要望した。これを受け、安倍首相は萩生田光一幹事長代行に対して、配分見直しに取り組むよう指示を行った。

 国会での質問時間の配分は与野党が協議して決めている。麻生政権時代は「与党4割、野党6割」だったが、旧民主党が与党時代に野党だった自民党の要求によって「与党2割、野党8割」となった。それをひっくり返そうというのだ。立憲民主党の枝野幸男代表は「とんでもない暴論」と批判。一方、菅官房長官は「当然のこと」と反論した(朝日新聞デジタル 10月30日)。

質問時間の配分見直しを訴えた石崎氏(左)と、それを「当然のこと」と発言した菅官房長官(右) ©文藝春秋(右)

 石崎氏の申し入れは、不祥事が相次ぐ“魔の3回生”が国会で活躍できるようにしたいという狙いがあるとされているが、自民党は森友・加計学園問題を追及された先の通常国会から首相が矢面に立つ時間を減らすために質問時間の配分の変更を主張している。7月の予算委の閉会中審査では「与野党5対5にしない限り、審査に応じない」と主張し、結局「与党3、野党7」で折り合った(毎日新聞 10月30日)。

 石崎氏はブログに「『与党だからヨイショ質問をするのでは』といったご批判は短絡的な見方に過ぎないのではないでしょうか」と記しているが(11月1日)、今年3月の参院予算委員会では自民党の堂故茂議員が安倍首相に対して「質問者に対する礼儀を尽くしておられる姿、本当に好ましいと思います」とあからさまなヨイショをしていた。昨年11月の衆院内閣委員会で質問に立った自民党の谷川弥一議員が時間を余らせてしまい、般若心経を唱えはじめてしまったことさえある。どういうことなの? 

 自民党は質問時間配分の変更を特別国会で質疑に応じるための「取引条件」にする構えも見せているという(毎日新聞 10月30日)。安倍首相が本当に「謙虚な姿勢」で政権運営を行っていくか、注視が必要だ。