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杉浦「本当にそうなんです。ドキドキハラハラ系ではなくて、でもなぜかその世界に魅了されていって、気づいたら1話終わって満足度がメチャクチャ高いから、もう1回繰り返し、あのシーンを観に行ったりする」

テレビも配信も同列の時代へ

 この話に佐久間が最近の傾向として「情報ドラマ」(「サ道」「孤独のグルメ」)もあれば「ドロドロの恋愛ドラマ」などいろいろあるとし、特に「ドロドロの恋愛ドラマ」は配信では強いと解説した。松本まりかが出演した「ホリデイラブ」(テレビ朝日・2018年)も、その典型として「今も配信強い」という。同じ人が繰り返し見たり、クチコミで広がりやすいのも理由だという。

 テレビ東京でプロデューサーとして数々のバラエティ番組を成功させた、根っからのテレビ人である佐久間が出演しているのは理由があると筆者は見ている。

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 テレビ界も、民放のTVerやNHKのNHKプラスで見逃し視聴ができるようになるなど「配信の時代」に入っている。NetflixやAmazon Prime、ディズニープラスなどの配信プラットフォームが乱立するなかで、いかに視聴者の24時間を奪い合うのか、テレビ局も配信事業者も競争をする時代に入っている。あるいはテレビ局と配信事業者がタッグを組んで新しい番組を制作することもある。もうテレビだ、配信事業だなどと区別できない時代になりつつある。

 番組では佐久間が解説する。コロナ禍で現在は「コンテンツ戦国時代」に入っている。ここにきて配信が伸びているので、勝負どきだと大量にコンテンツを投下しているのだという。

「あまりにもハマりすぎちゃって…」

 で、その流れで松本まりかが、Netflixが配信する韓ドラの「愛の不時着」にハマっていると告白する。ここまで聞くと多くの人は「なーんだ、やっぱりね」と思うに違いない。「愛の不時着」。韓ドラとしてあまりにベタな定番中の定番である。

「あのドラマを観るまで、わたしは人を愛したことがなかったと思った」

 番組で松本はこう述べている。この種の感動をベタに言葉にした反応もいわば定番である。延々と、繰り返し繰り返し観ているという松本。何回観たかわからないとまで言う。

松本まりか(NHK総合テレビ「コンテンツ・ラヴァーズ」より)

 ところが、この後で松本は驚くような偏愛ぶりを示す。

 続く彼女の言葉には、思わず耳を疑ってしまった。

「あまりにもハマりすぎちゃって、ラスト2話観てないんです」

「愛の不時着」は全16話だ。13話、14話は一度観たというが、いつも12話ぐらいでやめるのだと話す。「終わらせたくない」という気持ちなのだと語る。

「全世界の人、老若男女に受け入れられるエンターテイメント」

「普遍的なんですよ」

「人間の本質的な美しさが、画面から、その俳優の表情から、ビシビシ伝わってくる」

「すごく姿勢を正されたというか『美しく生きたい』とか『純粋に生きたい』というところを教えてくれるドラマ」

 松本の熱気を帯びたマシンガントークは止まらない。