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連載テレビ健康診断

「嘘をついてしまう」ことに悩む宮下草薙 太田光と神田伯山はどう答えたか?――てれびのスキマ「テレビ健康診断」

『太田伯山』(『お願い!ランキング』内)テレビ朝日系

 2月11日、講談界の大名跡「伯山」を襲名した神田松之丞改め六代目神田伯山。この襲名に伴いいくつかのテレビ・ラジオのレギュラー番組名が変わった。『太田松之丞』改め『太田伯山』(テレビ朝日)もそのひとつだ。こうしたことは近年あまり例のないことだ。そもそも、昨今、伝統芸能の芸人が冠番組を持つこと自体異例なのだから。

神田伯山 ©文藝春秋

『太田伯山』は、『お願い!ランキング』内で不定期に放送されている爆笑問題・太田光と神田伯山によるトーク番組。『太田松之丞』時代からの大きな変更点は、以前は別スタジオでモニタリングしていた田中裕二が、同じスタジオに入り進行に加わったこと。通常は視聴者から寄せられた悩み相談に二人が答えていくが「悩みに答えない毒舌相談室」の副題のとおり、ストレートに助言することはほぼなく、脱線に次ぐ脱線で何の話をしていたかわからなくなることも少なくない。

 この日は、宮下草薙をゲストに迎え、草薙の悩みがテーマとなった。彼は「嘘をすぐついてしまう」ことを悩んでいるという。たとえば、童貞キャラでもある彼はスタジオにキレイな女性タレントがいる際、MCらに「こういう女性どうなの?」と訊かれることがよくあるという。大抵は興味がなく何とも思っていないし、あまり好きではないことすらあるが、期待に応えて「大好きです」と初々しい感じを出しながら言ってしまう。「どうしたらお二人のように嘘や偽りのない生き方ができるのでしょうか?」と草薙は問うのだ。

 これに対し太田は「むっつりスケベじゃないの? 田中がそうだった」とその前の部分に引っかかってしまい話が進まない。伯山は女性芸人がイケメン俳優に対し「わー!」と色目を使わされる場面と同じと助け舟を出すが、太田は田中に「お前もそうだった」などと言い合いを続けている。堪らず草薙は「(女性に)興味あるよ! ケンカしないで」と割って入った。普通のバラエティならこれがオチになっていたかもしれない。しかし、宮下は「これも俺は嘘だと思うんです」とやり過ごさない。

神田伯山と太田光 ©文藝春秋

 様々な場面で気を遣い期待されている通りの言動をしてしまう草薙。「優しいんでしょうね」と伯山はフォローするが太田はすかさず「自分がよく思われたいだけなんじゃないかな?」と看破する。

「そうだよ! 俺は自分がよく思われればいいと思ってやってるよ。誰からも嫌われたくないっていう汚い心でやってるよ!」

 そう曝け出す草薙に太田は容赦なく「嘘をついてることに悩んでるって言うこと自体が嘘」と突きつけた。脱線は時に核心への近道になる。スリリングな対話の中で新たな一面を引き出された草薙の可愛げと芸人性が爆発していた。

INFORMATION

『太田伯山』(『お願い!ランキング』内)
テレビ朝日系 水 24:50~
https://www.tv-asahi.co.jp/onegai_chosenkyo/

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