先が見通せない秋の政治スケジュール
この都議選での自民党の敗北で、秋の政治スケジュールが、よりわからなくなった。軸になるのは、パラリンピックの終わる9月5日、菅首相の自民党総裁任期の終了する9月30日、衆議院議員の任期満了の10月21日である。パラリンピック終了直後の衆議院解散であれば、投票日は10月3日か10日の可能性が高い。
その場合、菅首相の下での選挙になりそうだが、4月の国政選挙で3敗し、知事選挙でも都議選でも勝てていない菅を交代させようという動きが自民党の中で強まる可能性がある。そのことを見越し、総裁選挙を終えてから総選挙というシナリオも考えられる。衆議院選挙の法的に可能な最も遅い日は、11月28日である。
こうした政変に小池が絡む可能性があるだろうか。都議選明けの7月5日に、小池は自民党の二階幹事長に会いに行っている。およそ月1回のペースである。その面会後、国政復帰が取り沙汰されることについて、「私はそういう意思を一度も言ったことがない」と述べた。9日には、国政復帰は「頭の片隅にもない」と述べたが、二階幹事長は8日収録の番組で「国会に戻ってこられるならば、それも大いに歓迎だ」と述べているのである。
しかし、コロナの方も予断を許さない。五輪・パラリンピック期間中に感染が急拡大したら、菅首相のみでなく小池の手腕も問われることになる。ワクチン接種が進み、いくらか収束に向かうという見方もあるが、変異株などもあって、感染の行方はわからない。7月31日には、東京都の新規感染者数は4058人を記録し、菅首相は緊急事態宣言を8月末日まで延期・関東3県と大阪府に拡大すると発表した。
政治生命に関わるほどの感染拡大でない限り、小池の国政への鞍替えの可能性は消えない。小池の地元東京10区の隣の東京9区が、菅原一秀自民党衆議院議員の選挙違反に伴う公民権停止によって自民党公認候補が空白であり(2021年7月30日現在)、そこで立候補できるわけである。しかし政治は一人ではできない。二階幹事長を通じて自民党に戻るか、新党を作って自民党と連立するかである。
*5 「小池東京都知事・前原誠司衆院議員と新党で首相狙う」『テーミス』2021年4月号、18~19頁。